昨日(1月23日)は「三浦謹一郎先生を偲ぶ会」に出席してきました.
三浦謹一郎先生は国内分子生物学研究を初期の頃から発展されて来られた方で,特に真核生物mRNAのキャップ構造を発見されたことで有名な方です.
「ワトソン遺伝子の分子生物学」の第4版*1の翻訳者の一人でもあります.
会では三浦先生とつながりのあった様々な先生方が,三浦先生の思い出話をきかせて下さいました.
その中で,何人かの先生が,三浦先生がいつもゆっくりとお話になること,三浦先生の時間は「密度」が他の人々と違っていたこと,三浦先生との会話では「間」が大事だったこと,などを思い出話として紹介して下さいました.
私は三浦先生から直接ご指導いただいたことはありませんが,何度かお話させていただいたことがあります.確かに,会話中に無言で数十秒間が過ぎていくという場面がありました.*2
さて,ある先生がおっしゃっていたのですが,この「間」は,じっくりと腰を落ち着けてディスカッションする,ヨーロッパのスタイルだとのことです.そういえばヨーロッパに留学した経験をもつ複数の知人が,
「あっちでは時間の密度がちがうんだ.あくせくしているわけじゃないんだけど,密度が濃いから充実するんだ」
というような事を言っていたのを思い出します.
日本に暮らし日本の大学で化学教育に携わる私は,残念ながらこうした感覚を抱きながら働いているわけではありません.なんだかわけのわからないまま一週間が過ぎてしまった,ということもよくあります.
そういうわけで,ここはひとつ腰を落ち着けて,「時間密度」というものを意識して仕事に取り組んでみようと思います.