↑ゴルジ体.Wikipedia Commonsより転載.
ゴルジ体。 ふ〜ん。聞いたことありますね。
なんでしたでしょう?ほら、 生物の授業で習いませんでしたか?細胞の中にあって、ひだひだと積み重なっている、 アレです。
-----ゴルジ体ってなんだろう?
先月,JR相模原線の車内で耳にした高校生の会話↓
「理科ー,生物にしたー」
「生物ー? ゴルジ体とかー?」
「そうそう,ゴルジ体,ありえなくなーい?」
「ほんとゴルジ体,もう,ありえなくなーい?」
「ゴルジ体,ありえなくない」とは「ゴルジ体はありえない」なのか「ゴルジ体はありえる」なのか,そもそも自分の身体の中にだって数え切れないほどのゴルジ体があるのにいったいゴルジ体のどこが気に入らないのか,などと突っ込みたくなる会話でした.
理科にはそれぞれ(具体的にそれが何だったか忘れてしまっていても)印象に残るキーワードがあるものです.そしてそれはたいていの場合,暗記に苦労したとか,テストのときにピンチに追い込まれる原因だったとか,そういった嬉しくない思い出とリンクされているものです.生物の場合は細胞内のこまごまとしたパーツの名前を問うテストの思い出が「ゴルジ体」にリンクされているのでしょう.
さて,化学の場合はどのようなキーワードが思い出したくない過去を思い出させてくれるのでしょうか.先日,「化学要習」の時間に一人の学生がボソっと
「モルとか聞くとヘドが出る」
とつぶやくのを聞いてしまいました.
「モル」.
たしかに面倒だし6.02×1023とかいう日常生活のスケールを遙かに超越したケタの数は出て来るし,ろくなことはないと感じる学生がいるのもわかります.そして「モル」と来れば「モル濃度」.ここで小学校から中学校にかけてテストのたびに苦しめられてきたであろう「食塩水の濃度の問題」の記憶がよみがえり,いつのまにか「モル」は悪者に・・・・
「化学結合」にもイヤな思い出を持つ学生が多いようです.イロイロと化学式を見せられて共有結合なのかイオン結合なのか高速判定させられた,とか,電気陰性度とかイオン化エネルギーとか電子親和力とかいった,どこがどうちがうのかよくわからない言葉に苦しめられたとかいった声をよく聞きます.
でもこのあたり,整理して覚えておくと大変便利なものなのです.今週,「化学要習」では「モル濃度」を,「化学」では「共有結合」をとりあつかう予定です.「モル濃度,ありえなくなーい?」とか「共有結合,ありえなくなーい?」とは言わせないわかりやすい講義を目指し準備中です.