金曜2限の「化学」(看護学部選択科目)の最終回です.これで2009年度の講義がすべて終わると思うと安心するとともに,寂しくも感じます.
今日でもう化学の授業が終わりなのでさびしいです・・・。もっと授業受けてみたかったです。
あー! 化学おわりとかイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ(ry
おわっちゃうのやだなぁ、ろうかで会ったらよろしくお願いします(^o^)/
今日で化学おしまいなんですね。本当にあっという間でした・・・
化学選んでよかったです。ありがとうございました!
ここまで化学の時間を喜んでもらえるとは思いませんでした.とても嬉しく思います.どうもありがとうございます.
さて,
今回も先週に引き続き,スライドだけで講義を進めました.関連資料はプリントして配布しました.
前回の講義に対する感想コメントその他なんでも一括紹介
↑ここに書かれている内容に対してコメント&解説しました.
詳細は前回の講義録参照→第25回(2009-12-11)
化学トピック(1)水が豊富なスーパーアース
地球と似た環境をもつ,地球よりも大きなサイズの惑星をスーパーアースと呼びます.今週水曜日(12月16日)にハーバード・スミソニアン天体物理学センターが,地表の大半が水に覆われていると考えられるスーパーアースを発見したと発表しました.
- Astronomers Find Super-Earth Using Amateur, Off-the-Shelf Technology(Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)
- 水が豊富な「スーパーアース」発見、これまでで最も地球に近似(AFPBBNews)
地球の他に生命が存在する天体が存在するかどうかは,まだ誰にもわかりません.しかし,地球に似た環境の天体が少しずつみつかってきている事実は,どこかの星に生命が存在するのではないかとの期待を抱かせてくれます.
化学トピック(2)ボーイング787試験飛行成功
航空機といえば金属製のボディをもつものと思われがちですが,軽量化を図るために有機材料も使われるようになってきています.ボディのほとんどすべてが炭素繊維でつくられたジャンボジェット機.ボーイング787が今週水曜日(12月16日)に初飛行しました.炭素素材のつくりかた,医療分野も含めて広い範囲に応用されている炭素素材について説明しました.
飛行機大嫌いです、極力乗らない! 炭素で軽くたって絶対乗りませんよーてくらい嫌い(笑)
おっと,飛行機嫌いの登場です.嫌いな人は本格的に嫌いなんですよね.
全26回の総括
前期の第1回から基本的に教科書に沿って講義を進めてきましたが,各単元は様々なかたちで関連性を持っています.
たとえば化学反応とは何かを考える際,分子を構成している原子と原子とが結合が組みかえられていることに注目します.そして,何か変化が起きるとき,かならずそこにエネルギーの出入りがあります.固体→液体→気体という状態変化もエネルギーの出入りを伴うものです.
エネルギーに関連して,電子レンジの話をしたところ,これが数週間連続して質問の続くトピックになりました.主に「電子レンジでチンしていいもの/いけないもの」の質問でしたが,「チンしてヒヤリとさせられた体験談」も何件かありました.
あと、危ないとわかりながらも、つい、洗い物とかめんどうくさくて、レンジで、目玉焼きつくってます。
ううむ.ゆで卵はやめてくださいね.
さて,化学反応を定量的に理解するためには,正しく反応式を書けることが重要です.係数合わせに用いられる未定係数法の演習を6月にやりました.
という具合に,すべてのトピックがそれぞれ何らかのかたちでリンクされているのです.
未来を予測する
昔の人は「未来」をどのように予測したのでしょうか.例を挙げてみました.
1926年のドイツ映画「メトロポリス」では,高層ビルが空にそびえ,ビルとビルとを高速道路がリンクさせ,飛行機が飛び回る世界が描かれています.想定されているのは2026年の社会です.今から17年先になります.*1
1969年の少年サンデーには,無人手術室とかコンピュータ生活といったものの想像図が描かれています.想定されているのは1989年の社会です.今から20年「前」になります.
昔の人々が想像した「未来」は,今の私たちからみた「現在」になっているはずなのですが,「レトロな未来」に見えます.価値観とか感覚といったものがどう変わるのかまで推測できない状態で,技術の進歩だけを想像するからです.
しかし,そういった「レトロな未来」を見てみると,人間が何を求め,何を望んできたのかがわかります.何が実現し,何がまだ実現していないのかを考えるうえで,「昔の『未来』」を振り返ってみることには意義があります.
昔の人が未来を想像する時、ナゼ タートルネック+全身タイツあとブーツなんでしょう。
宇宙服とかをイメージしているのかもしれません.この時期に開催された大阪万博(1970年)のコンパニオンが着ていたユニフォームを見ると,なんとなく似ていませんか?
藤子・F・不二雄の「21エモン」でも,似た感じの服が出てきます.
当時はアポロプロジェクトが進んでいたりして,未来=宇宙=宇宙服=カッコいい=未来の服は宇宙服,というような考え方をしている人が多かったのかもしれません.
2019年の化学(医療関係)を予測する
前回までは「これまでにわかっているものごと」を講義で扱ってきましたが,今回は,すでにわかっているものごとに基づいて,「まだわからないこと」を考えてみることにしました.
今から10年後,2019年に医療分野の化学がどのように進歩しているのかを,推測してみることにしたのです.
この1年間,化学を履修した看護学部1年生は,2019年,医療現場で看護師として活躍していることでしょう.その頃,化学は医療の仕事をどのように支援し,発展させているのでしょうか.いくつかのトピックを紹介してみました.
(1)DNAの個人差に基づく医療
30億文字から成るゲノム情報には,約1,000文字に1文字の割合で個人によって異なる箇所が存在します.これを一塩基多型(SNP)と呼びます.SNPは,生活習慣病,薬効,副作用,といったものと深く結びついています.例を挙げてこれを説明しました.
SNPをみつける方法として最初に思いつくのは,個人のゲノムを丸ごと読み取ってしまう作業です.
30億文字を読み取る作業は非現実的に思われますが,技術革新が続いた結果,この数ヶ月でこれは現実味を帯びてきていました.
先月上旬,アメリカのバイオベンチャーが,40万円のコストで個人の全ゲノムを読み取れると発表しました.
さらに2014年には15分間で全ゲノムを読み取り可能になるとの予測もあります.
個人のゲノムが読み取れるようになれば,遺伝子に基づく診断が広がることでしょう.
15分で1人分のDNAを読み取れるようになったら、とてもすごいですね。コストももう少し安くなれば、医療の一種の検査として使えそうだと思いました。
これと並行して,ピンポイントでSNPを検出する技術開発も進められています.現在,30分間でSNPの判定を下すことができるようになっています.
このシステムを用いて,外科手術を進めながら患部のSNP分析を進め,抗がん剤の投与を判断するという,スピード勝負の検査が実現しています.
どんどん新しい技術がうまれてすごい・・・けど、これが現場で使われるとなったら使い方覚えないとですねヽ(^o^)/あちゃームリぽ
医療技術の発展は日進月歩です.今すべてを覚えるのはムリでも,卒業したら働きながら新しい技術や考え方を学んで行って下さい.
一方,個人の遺伝情報に基づいて投薬量を決める方法が採用されはじめています.
たとえば薬効に個人差の大きい経口抗凝固薬ワルファリンの投与量を,遺伝情報も含めて条件で算出するオンラインサイトが開設されています.
2019年には個人の遺伝情報に基づいた医療が一般的になっているかもしれません.
薬剤投与が個人によって変えられる・・・すごいですね! 薬学部も医学部もわたしたちも覚えることいっぱい! シラバスかわっちゃう! 2019年学生じゃなくてよかった!←重要
いま複雑にみえるような技術でも,現場で実際に使われるようになったときには,使いやすい形態になっていることでしょう.そして2019年には今よりも経験を積み,成長しているはずですから,新しい技術を簡単に身につけられることでしょう.
遺伝子型に合った治療ができるのはかなり役に立ちそうだと思った。副作用で亡くなる人が減ってほしい。
これは,薬剤の副作用で苦しんだ経験をもつ学生からのコメントです.いったい何のための医療だったのか,というような事態はなくなってほしいですね.
DNA診断が発展していけば、10年後には今よりもっといい医療が提供されるようになるのかなぁ・・・と楽しみになりました。
そして進歩した医療が看護の仕事も変えるのです.もっと良い医療となって.
(2)生体を模倣した医療材料
透析フィルターや血液配管に用いられる素材は,人体から異物として認識される可能性があります.この結果,過剰な免疫反応が誘発されて身体に損傷が生じる恐れがあります.これを防ぐため,生体適合性の高いポリマー材料の開発が進められています.
なかでも,生体膜を模倣してデザインされたMPCポリマーは,ポリスルホンに重量比1 %で混合しておくだけで生体の過剰反応を抑えることのできる,優れた物質です.
(3)プログラムできる材料
ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドは,温度変化にともなって存在様式を変化させるポリマーです.この性質を利用して,細胞シートを調製する技術が完成しつつあります.
このポリマーを使えば,角膜や皮膚の調製が容易になることでしょう.
これは平面のハナシですが,立体ではどういうことができてほしいでしょうか.
究極の目標は,分子集団を3次元的に自由に操る技術を開発することです.次のムービーを紹介しました.
ここでは自動車のモックアップが例として採りあげられていますが,細胞培養の際に足場をこのような材料で組み立てておき,立体構造をもつ人工臓器をつくった後に,足場を解体する,などということができれば,再生医療が飛躍的に発展することでしょう.
夢の技術ですが,いつかは実現するかもしれません.
人間は科学で夢をいくつも叶えてきたし、これからもずっとそうなんだなーと思いました。
2019年、たぶん想像できないような世界になっていることだと思います。楽しみではありますが・・・。少しこわいです。10年、20年、30年・・・発展が加速している今、将来は本当にどうなってしまうのか、きっと誰にも分からないと思います。
いろいろと想像してみることは楽しいし,想像してみることによって何が必要なのかが見えてくるので,どんどんイマジネーションをふくらませてみましょう.そのうえで世の中がどうなって行くのか見て行きましょう.
今回の講義に寄せられたコメントの紹介
それと・・・銀座の有名な宝くじ売り場で、私の父も買ってました。笑
これは講義の途中で「ものごとの本質を見ないと,正しくないものごとを信じてしまう」という話をした際に,「宝くじが『よくあたる』(と信じられている)売り場というものがある」という例を出したことに対するコメントです.イベント的なノリで買いに行くのは楽しいでしょうね.並ぶことにもイベント性がありそうです.
たしかに科学を信じてしまうと発展しなくなりそうですね。今ある法則を疑って研究することで、また新たな発見ができる気がします。
これは,「無条件に何かを『信じる』行為は科学的ではない」という話をしたことに対するコメントです.「エネルギーは保存される」とか「物質は原子からできている」という考えを,科学者は「信じて」はいません.それらは「事実と考えてよいと判断している」のです.
1年間を通じての感想などの紹介
1年間ありがとうございました。金2限化学は1週間の中で最も楽しみな授業で、北里の中で野島Tは一番好きなteacherでした。来年もこの先もずーっと先生の授業をうけたいくらいですよ。本当に。またam/pmで会ったりしたら声かけますのでムシしないでくださいよ。おねがいしますよ。
化学は基本的に好きで興味があったので楽しい授業でした。休んだり、遅れたりしてしまいましたが、とても身になった授業になったと思います。1年間ありがとうございました。
1年間、たくさん遅刻してしまいすみませんでした。先生の講義前半にやっていたスライドショーが毎回おもしろかったです。最後に年明けのテストがんばります。ありがとうございました。
先生の授業は化学だけでなく、医療にも関連して話をして下さったので、とても興味のわく授業でした。化学は苦手だったけど、好きになりました。(少しですが・・・)
1年間楽しい授業ありがとうございました。
1年間ありがとうございました。本当に本当に本当に楽しかったです(^o^)
1ねんかんありがとうございました!
一年間お疲れさまでした。
一年間、楽しい講義をありがとうございました!
改めて、ありがとうございました。
最後の授業だったのに寝てしまいました。ごめんなさい。
先生の授業はわかりやすくて本当によかったです。なごやかな授業のふんいき好きでした。一年間ありがとうございました。
4月に第1回目の講義を終えたとき,まさかここまで喜ばれることになるとは想像していませんでした.
喜んでもらえてとても嬉しく思います.
わー先生1年間ありがとーございましたヽ(^o^)/わーwww先生授業は楽しくていつも楽しみにしてましたよ.遅刻してましたけど^^ω内職してたけど^^ω^^ω←気にしない
この紙にもいつもどーでもイイこと書いてましたが、それでも相手してくれる先生はとてもナイスだと思います。
未来は無限大ですね。想像するととても楽しいです。あ、そういえばこの前 看護の授業中にたまごっちが家出しました。さよなら☆<
その他
たまごっちが激アツでやばい。
・・・・・
野島ページすげえええええ なんという! お気に入り入れときます。うれしいー
講義録と参考リンクをwebで公開していることを知らせました.それに対するコメントです.
後期テストはおせち料理をたべつつお勉強するつもりです。がんばっちゃいます←たぶん
後輩ができたら、化学ゴリ押ししますw来年頑張って下さいw先生の授業大好き!!
リアクションペーパーいつも長くてすみませんwそれでものせて下さって嬉しかったです!
それでは全員揃って期末試験で合格点をとり,無事に2年に進級してくれることを願います.
リンク
www.tnojima.netwww.tnojima.net
- 作者: MollyM. Bloomfield,伊藤俊洋,岡本義久,清野肇,伊藤佑子,北山憲三
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*1:この映画は1984年にリメイク版が公開されました.BGMに1980年代のロックを使い,フィルムはカラー着色されていました.父と観に行ったのを覚えています.