Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

(10)酸と塩基 II


pHが出てきました.出席者数26名.天気予報によれば30℃を超える真夏日となる模様です.

前回のコメントへの解答

諸般の事情により次回まとめて紹介することにしました.

酸と塩基の価数

酸分子中のH+となるHの数が「酸の価数」,塩基分子が受け取ることのできるH+の数が「塩基の価数」となります.

電離度

水に溶けて陽イオンと陰イオンを生じる物質を電解質といいます.溶かした電解質がかならずしも完全に電離するとは限りません.溶解させた電解質の内,電離したものの割合を「電離度α」と言います.

電離度が異なる場合,同一濃度で同一価数の酸を溶解させた場合であっても,酸としての強さには違いが生じます.たとえば1 mol/Lの塩酸と1 mol/L の酢酸では塩酸の方が強い酸となります.

水の電離度

純水は水はごくわずかにH+とOH-に電離しています.それぞれの量は

[H+]=[OH-]=1.0×10-7 mol/L

です(25℃において).また,

[H+][OH-]=1.0×10-14 (mol/L)2

の関係が成り立つことが知られています.

水素イオン指数pH

[H+]を基準に水溶液の酸性や塩基性の強さを数値で示すことができます.ここで用いられる指標が水素イオン指数pHです.pHは以下のように定義されます.

[H+]=1.0×10-a mol/L のとき pH=a

純水の場合は7となるのでこれが中性のpH,これよりも大きい値を取る場合に塩基性,小さい値を取る場合には酸性となります.

出席カードの自由記入欄から


答えを見ると理解できるのですが,問題を解こうと思うと まだ答えられるようなレベルになっていません(この章は).

解答を読んで理解できていれば一安心です.あとは問題をいくつか解いてみて慣れれば大丈夫です.

これまでの復習

時間に余裕があったので第1回からの流れを復習しました.「原子とは?」というようなあたりからスタートした化学要習も残すところ後2回です.ぜひクリアして専門科目や仕事で出て来る化学的な問題を片付けられるレベルまで成長してください.

次回予告

第11章「酸化と還元I」に進みます.

2009年度化学要習

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