今回と次回とで酸素を含む有機化合物を扱います.
前回の講義に対する感想コメントその他なんでも一括紹介
↑ここに書かれている内容に対してコメント&解説しました.
詳細は前回の議事録参照→第20回(2009-11-11)
化学トピック(1)月に水分あり
10月上旬にNASAが宇宙船をの南極に衝突させ,舞い上がるであろう水蒸気の量を見積もる実験を行いました.
衝突実験の後,得られたデータの分析作業が続いていましたが,このたび確かに水をとらえたとの発表がありました.
化学トピック(2)ニトログリセリン
ニトログリセリンは多価アルコールであるグリセロールが硝酸エステルとなった化合物です.
わずかな衝撃で大爆発を起こすため,爆薬として広く用いられてきました.
その威力を知ることのできる動画を2件紹介しました.
爆弾の威力に驚きました。一片なのに化学反応はすごい!!
今度はTNTの映像が見たいです。
先週の爆発映像はTNTでしたよ.
爆発よかった!!
ダイナマイト作ったのってノーベルでしたっけ?
そうです.ダイナマイトを発明することによって彼が得た収入(とその運用利益)によって運営されているのがノーベル財団です.
補足資料配付
酸素を含む有機化合物が関係する反応について,時間の都合で解説できない反応機構などを解説した資料を配付しました.
酸素を含む有機化合物
(1)アルコール,(2)エーテル,(3)アルデヒド,(4)ケトン,(5)カルボン酸,(6)エステル,の6種類について一般式を書いて簡単に紹介しました.このうち(6)エステル以外の5項目を今回の講義で採り上げました.
さまざまなアルコール
第一級アルコール,第二級アルコール,第三級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,フェノール,について説明しました.
また,アルコールの製法として(i)アルケンへの水付加,(ii)アルデヒドもしくはケトンに水素付加,というような方法があることを紹介しました.
白金が触媒となる原理がわかった。
プラチナを触媒にする理由が少し分かりました
続いて,アルコールの反応として,分子内脱水反応,分子間脱水反応,酸化,について解説しました.
この過程で,(2)エーテル,(3)アルデヒド,(5)カルボン酸,(4)ケトン,も紹介しました.
アセトアルデヒドのせいで二日酔いや悪酔いすると分かった。
お酒、参考になりました。
飲酒は二十歳になってから.
ALDH2が全く無い人は日本人の何割くらいなんですか?
5 %程度です.
さて,
ケトンの代表的物質はアセトンCH3COCH3です.
今ではクメン法の副生成物として大量かつ安価に生産されている有機溶剤ですが,第一次世界大戦中は貴重な軍需物資でした.
爆薬を製造するためにはアセトンが大量に必要となったのですが,当時の技術ではアセトンを大量に製造することができませんでした.
この要請に応えたのがイギリスのユダヤ人化学者ヴァイツマンでした.
彼はバクテリアを用いる発酵技術によってアセトンを安価に大量生産可能としました.
その見返りに彼が大英帝国から受け取った報酬は,母国建設のための土地でした.
この土地が現在のイスラエルとなり,彼はその初代大統領を務めました.
参考リンク→ハイム・ヴァイツマン(Wikipedia)
アセトンの話が面白かったです。
アセトンが世界史に関係あるのが興味深かったです。
イスラエルの建国の過程にはとてもおどろいた。
身近なところでも有機化学が用いられていることを知った。
聞いていておもしろかった。
その他
HPの定点カメラの新棟、毎日楽しく見ています。がんばって下さい。
継続は力なり.毎日撮影しています.新棟完成まで続ける予定です.
- 地上からアングルA [1] [2] [3]
- 地上からアングルB [1] [2] [3]
- 隣接建物4階からアングルA [1] [2] [3]
- 隣接建物4階からアングルB [1] [2] [3]
- 隣接建物4階からアングルC [2] [3]
おもしろかった
先生の話おもしろいです。
よく分かった。
とても理解しやすかったです。
そう感じてもらえると何よりです.
前回(ポッキーの日)は休んでいたので、ついていけるか心配です。
大丈夫.重要項目はいたい完了しつつあるし,ややこしい話はこれから先には出てきません(たぶん).
テスト予想プリントがほしいです。
12月に配布します(たぶん).
ダイオキシンって,一般的に発がん性があるやら奇形児が生まれるやら,大層な毒物として見られてますが,科学者は無害だという見解で一致していると聞きました.結局のところ,ダイオキシンはヒトにとって有害なのですか?
「人体にとって無害だと断言できるだけの十分な証拠は得られていない」ということ,「ダイオキシンが直接の原因で人間が死亡した例は報告されていない」ということ,は事実です.しかし,何か特定の物質に関して「無害と断言できる」というようなことはめったにありません.そのため,「科学者は無害だという見解で一致している」ということはありません.
原子どうしが正しくつながっていれば,どのように書いてもOKです.
次回予告
含酸素有機化合物のつづきをやります.糖,油脂,医用高分子といったトピックも採り上げます.
リンク
www.tnojima.netwww.tnojima.net

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