前回の講義に対するコメント質問その他の紹介
ギリシャ文字を覚えよう
α線,β線,γ線,にはじまり,角速度ωに至るまでいろいろなギリシャ文字が出てきます.これらの読み方を正しく知っておくと,これから先,役にたつことでしょう.
というわけで,「ギリシャ文字とその読み方」プリントをつくって配布しました.
化学トピック(1)今週金曜日,宇宙船が月面にアタック!
月に水資源がどの程度存在するかを調べるため,NASAが宇宙船を月面に追突させる実験を計画しています.狙っている場所は月の南極です.
ここには多量の氷が埋まっている可能性があり,ここに宇宙船が衝突すると,爆発によって高さ10 kmほどの水蒸気が月面上空に舞い上がるみこみです.その様子を世界各地の天体望遠鏡で眺めようという計画です.
予定時刻は日本時間の今週金曜日20時30分.NASAがインターネットを通じて月からの映像を配信してくれることになっています.
- 10 kmも水蒸気が上がると言っていましたが地球から肉眼で見えますか?
ちょっときびしいでしょうねえ.それにこの時刻,日本からは月が見えにくい高さにあるようです.中継をみましょう.
化学トピック(2)テロメアとテロメラーゼ
今週,今年度のノーベル生理医学賞が発表になりました.
今回は,
「テロメアと酵素テロメラーゼによってどのように染色体が守られるのか」
の研究が選ばれました.
染色体DNAの末端は,コピーのたびに短くなって行くことが知られています.しかし生物は何万年にもわたって子孫に遺伝情報を伝えてきました.末端から情報が失われて行く仕組みを補う仕組みがあるのです.それが「テロメア」です.
テロメアは繰り返し配列をもつDNAの末端構造で,生殖細胞やがん細胞などでは,テロメラーゼとよばれる酵素がこれを作り続けています.そのため,何世代にもわたる染色体複製によっても,染色体は失われないのです.
テロメラーゼの酵素活性は正常細胞では見いだされていませんが,がん細胞では見いだされます.がん検査との関連もある研究です.
- テロメアの話がとても面白かったです.
卒業後の仕事で,関連する検査を担当する場面が出てくるかもしれませんね.
過飽和と過冷却
過飽和の例として「ハチミツの結晶化」を,過冷却の例として「冷凍庫で氷点下以下まで冷却した水」をとりあげました.結晶化も凝固も,何らかの「きっかけ」がないと生じないのです.
透析
臨床工学専攻の学生は,卒業後に人工透析機器を扱う仕事を担当する可能性があります.透析についての理解を深めておくことは,これから先の役にたつことでしょう.
そのためには,浸透圧と透析についてのしくみを理解しておくことが大切です.モル濃度の理解を終えた次の段階として浸透圧と透析の理解に進みます.そのための予備的な解説をここで済ませておきました.
モル濃度計算
モル濃度,質量パーセント濃度,ppm,ppbを説明しました.
特に化学の理解で重要なのはモル濃度です.そこで,実際にメスフラスコを見せながら,溶液調製の実際について説明しました.
濃度は重さや大きさと違って目で見て理解しにくい物理量です.そこで,まずは「1 Lの体積の液体に1 molの溶質が溶けている1 mol/Lの溶液をイメージする」ことが,モル濃度を考えるときのスタート地点としてわかりやすい方法です.
質量%濃度では「1 gの溶質が100 mLの液体に溶けている1 %(w/v)の溶液をイメージする」のがよいでしょう.
いきなり濃度が与えられてもイメージできないのは,その重さや体積が任意に定められるからです.そこで何か基準体積を決めておいて,その体積に含まれる物質量/molを考える,という方法が近道になります.
コップ1杯とかバケツ1杯でもいいのですが,それよりは1 Lとか100 mLとかのほうがわかりやすいでしょう.
水溶液調製法の計算
ちょっとむずかしい計算問題に取り組んでみました.回答を出席票に記入して提出してもらったところ,15名が正解にたどり着きましたが,数名が途中で時間切れ,あとは正解にたどり着きませんでした.
次回,解き方のプリントを配布しますが,それまでに自宅で格闘してみるよう自主課題としました.
モル濃度は何としても理解して進級してもらいたいので,あと数回,計算問題の演習をやってもらい,今回と同等の問題が解けるようになってもらいたいところです.
その他
- 復習になってよかった.
濃度は高校化学でも出てくるテーマです.「モルで考える」を忘れなければ必ず問題解決できるところです.
- 1年生のうちに教科書は終わるのでしょうか?終わらない気が・・・・笑
終わらせるのです.基礎に時間をかけ,各論が続くところは要約しつつ,ところどころでアレンジするので大丈夫なのです.ちゃんと計画しているのです.
次回予告
終わらせるのです.基礎に時間をかけ,各論が続くところは要約しつつ,ところどころでアレンジするので大丈夫なのです.ちゃんと計画しているのです.