Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

実験実習の「案内板」(有機合成実験)

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毎週木曜日と金曜日の午後は,1年生を対象とする化学実験実習の時間となっています.私が担当している有機化学実験では,実験操作を進めて行くうえで記録を取り忘れてはならない点や,廃棄物の適切な処理方法,それに器具の片付けなど,いわゆるFAQをホワイトボードに記して,「まずはこれを見よ」と指示してから実験操作に取りかからせています.

ここにわかりやすい指示を書いておけば,一度に40人とか50人とかの1年生が同じテーマに取り組むこの実験実習を,スムーズに進めることができます.それで,毎回少しずつ注意事項を改訂してきました.

今回はその大幅アップグレードです.実験の流れを中心に,ノートに記録を取るべき具体的な事項をリスト化しました.また,実験終了時の片付けも,効率よく進められるように器具リストを整理しました.

具体的に工夫した点は,例えば以下のような記述です.

最低限記録する項目

「最低限」と入れておかないと,他の観察記録を残さない可能性があります.実験ノートには気づいたこと,考えたこと,その他なんでも積極的に書くことが重要です.それで,レポート作成時に必要な項目として「最低限記録する項目」としました.

アスピリン(机上の標品ではない)

自分で合成したサンプル(アセチルサリチル酸)と比較するために,この実習では「化学メーカーから購入した標品のアセチルサリチル酸」と,「薬局で販売されているアスピリン(主成分がアセチルサリチル酸)」を使います.この両者を間違えることが多いので,正しい方を選べるように,リストに併記しました.
毎週毎週繰り返される実習課題ですが,まだまだ改良は続きます.