先週の土曜日に東京都薬用植物園(小平市)(西武鉄道拝島線 東大和市駅前)に行ってきました.
ここにはさまざまな薬用植物が研究用・分析用に栽培されています.
植物園は都内にも何か所かありますが,麻薬犯罪捜査の押収品を検定するために法的に取り締まり対象となっている植物を栽培しているのは,ここだけです.
今回,希望者を対象とする「アサ」の観察会がここで開催されました.この観察会の呼び掛け人は,薬学部准教授の福田達夫先生です.福田達夫先生は以前,この植物園にお勤めでした.
敷地の一角に,二重金網で立ち入りを制限された場所があります.この奥でアサが栽培されています.
アサは成長するとヒトの背丈よりも高くなります.「木」ではなく「草」なので,1年ごとに枯れてはまた芽が出る,というサイクルを繰り返しているそうですが,東南アジアなど暖かい地方では一年中枯れることなく茂っている場合もあるそうです.
雌花と雄花が異なる個体になっているため,増やすためには少なくとも雌雄1株ずつのアサが必要です.
アサの特徴のひとつは,ギザギザの小葉です.1枚の葉は3枚から十数枚の小葉をもちます.
葉の生え際を指先ですりつぶして匂いを嗅いでみました.いわゆる「草の匂い」でしたが,苦みがあるような,甘いような,普段感じる機会のないような匂いでした.
なお,こうして匂いを嗅ぐこと自体は違法行為ではありません.「所持」することが違法行為となります.そのため,この葉をコッソリちぎって持ち帰ったりすると犯罪行為になります.
試験用に栽培がおわると,このように敷地内に深い穴を掘って埋めます.以前は敷地内で焼いて処分していたそうですが,今はそういうことはしていないそうです.
敷地内ではタネからの栽培も進められています.いろいろな押収品を発芽させたり,比較用のタネを発芽させたりする必要があるからです.
国外からアサを輸入したいよう,税関で厳しく取り締まっているとのことですが,最近の傾向として「雑貨」としてコッソリと麻の種子を持ち込む業者があるそうです.
また,麻とは違う植物の葉に麻の成分を振りかけてコッソリと売るなど,あの手この手で麻薬売買が進められており,取り締まり対象も広がる一方だそうです.
アサは植物なので,種,苗,枯葉と,さまざまな状態の押収品がこの植物園には持ちこまれます.そのため,実際に1年を通じて栽培し,どのような成長段階のものであっても比較できる体制を整えているそうです.都内の大麻捜査取り締まり品はすべてここに持ち込まれ,鑑定され,処分されるとのことです.
大麻の原料となるアサの他に,コカインの原料となる「コカ」も,敷地内の温室で栽培されています.これについては別の機会に紹介します.
なお,福田先生は5月には「ケシ」の観察会を開催されています.一般教育部玄関にも呼びかけのポスターが掲示されるはずですので,興味のある方には参加をおすすめします.私も参加させていただこうと思っています.
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