Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(26)生体を構成する有機化合物

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キーワード

3'末端,5'末端,塩基対,核酸,核酸塩基,脂質,脂質二重層,多糖,単糖,タンパク質,デオキシリボ核酸 (DNA),糖質,糖タンパク,二重らせん,ホスホジエステル結合,リボ核酸 (RNA),リン酸エステル,リン酸ジエステル,リン脂質.

講義内容要約

  • 4大生体分子: 糖質 (炭水化物),タンパク質(およびアミノ酸,ペプチド),脂質,核酸
  • 親水性と疎水性 (親油性)
  • グルコースとでんぷん (アミロースとアミロペクチン) とセルロースの関係
  • タンパク質の立体構造が保たれるしくみ
  • タンパク質は,糖やリン酸基が結合してはじめて機能する場合がある
  • リン酸からスタートして構造を変えていって生体膜の構造を理解する
  • ホスホジエステル結合と糖と核酸塩基でDNAやRNAが組み立てられている
  • 生体分子の働きを理解してインフルエンザに効く薬を開発する: リレンザやタミフルの化学構造には理由がある
  • なぜ私たちの身体は有機化合物で構成されているのか?

今回の講義および事前配付自習資料に出てきた有機化合物および構造パターンで,構造と名前が対応できなければならないもの (立体化学は考慮しなくてよい)

α-アミノ酸の一般構造,α-グルコース,ポリペプチドの一般構造,β-グルコース,リン酸ジエステルの一般構造,

関連動画: リン脂質二重層の流動モザイクモデル

質問

  • インフルエンザは毎年のように大流行するのですが,どのように発生し,なぜあんなに大流行するんですか?
  • 流行が収まっても完全撲滅されたわけではなく,どこかの誰かの体内に潜伏していて,放出もされている
  • 冬になって喉の粘膜が乾燥するとウイルスに対する耐性が衰えて感染→増殖が起きやすくなる
  • 進化速度が速いので別のタイプ向けに獲得した免疫が効果を発揮しない
  • 以上はおおざっぱな説明であって,他にもイロイロな要素が積み重なる
  • もし遠い未来に遠い宇宙で宇宙人が見つかったとして,その宇宙人が炭素以外の元素(ケイ素とか?)から構成されている,という可能性はあったりするのでしょうか?
  • 地球上の生命のようなシステムを想定するとケイ素では化合物のバリエーションが乏しくてムリ
  • 実験の効率が悪すぎていつも終わるのが最後なんですがやばいですか?
  • 作業が速い人もいれば遅い人もいる
  • 速く進むことに価値はなく,ゆっくりでも理解しながら進めることに意義がある
  • とは言え,失敗を繰り返すとか勘違いが多いといった状況なら問題なのでじゅうぶんな予習をして来ることが必要
  • 先生は食品添加物の中で人体に有害だと思うものは何ですか?
  • 日本のルールに従って流通しているものは問題なしとして生活している
  • あとから有害だとわかる成分も含まれているかもしれないが,いろいろなものを食べて希釈されているので人生に重大な問題は生じないと考えている

コメント

  • 最近,普通の化学だけじゃなく医療に結び付いた化学の授業をしてくださるのでとても興味がわき楽しいです.
  • 我々の人体の細胞をつくるにあたって有機化合物(Cを含む)が必要なのは炭素が価標4本を持つので連鎖的に分子を組み立てられるからであるのがわかった.炭素がなければ四大生体分子をつくることができないので炭素の存在はすごいと思った.
  • 最初の問いの答えとして,有機が地球上での存在比が上位をしめているから.
  • 有機化学は動物の構造など直接関わってくるので生物学とリンクしているなぁと再認識した.
  • 今回の化学と生物の合わさった生化学はME試験でめちゃめちゃでてきました."グルコース" とか "リン脂質" のことが当時わからなかったのですが,今回の講義でかなり頭が整理されました.
  • 親水性のものがわかるようになった.
  • リン脂質二重層のイラストが気持ち悪かった.
  • タミフルがノイラミニダーゼを働かなくすることができるのは初めて知りました.
  • インフルエンザウィルスがどのように広がっていくのか分かった.
  • 生理学で学んだことがつながっていて感動しました.インフルエンザについてのしくみ,思っていたよりも単純でおもしろい.
  • ウィルスの特性を利用した薬が数多くつくられているのはわかったが,人類がウィルスに完全勝利できたことが数少ないことを考えると,ウィルスの方がまだ上手なのかと考える.
  • 今年もインフルエンザにならないよう気をつけます.
  • 有機を身近に感じました.
  • 人にとって有機化合物がいかに必要なのかがわかった気がする.
  • だんだん人が減ってきてさみしいです
  • 今日はめざまし占いで1位でした!! そのおかげでギリギリ遅刻せずにすみました.
  • 少し遅刻しました.
  • まだ無遅刻無欠席です.
  • 当たり前のことかもしれないけれど授業に最初からちゃんと出ている自分をほめたい.
  • 追いつくためにがんばります.
  • がんばります
  • 体の構成元素同じだから実質皆スムート
  • 特になし
  • 特になし
  • 特になし
  • とくになし
  • なし
  • なし
  • プリントが足りないことが多いので多めにまわしていただけると助かります.
  • はい

  • ヤキイモって5限終わりでもOKですか? 行きたいです!!
  • 焼きいも,5限終わりでも可能なら行きたいです.
  • 焼きイモ,行けたら行きます

OK

出席者数推移

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(16)78→(17)74→(18)68→(19)66→(20)68→(21)69→
(22)69→(23)61→(24)61→(25)56→(26)60.

次回予告と自宅学習

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合成ポリマーの化学について学びます.配布物 記載の指示に従って予習して来ること.

参考書籍

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  • 作者: John McMurry,伊東〓,児玉三明,荻野敏夫,深澤義正,通元夫
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