Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

TVのおかげで「実験ノートの人」になっちゃった私が考えてること

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今回の「実験ノート」騒動について「実験ノートの人」*1にされちゃった私は,なんかヘンな感じー,って思ってます.

実験ノート騒動についてはこちら参照↓
www.tnojima.net

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純粋に,

「実験やってる人々は記録を残すために『実験ノート』に記録を付けている→理系の大学を卒業した人々じゃないと見たことのない『実験ノート』ってどんなモノなんでしょう?→例えば北里大学の以下略」

っていう流れならいいんです.

でもココに,O博士とかS細胞とかノート2冊3年間弁護士3人とか割烹着とかが登場すると,ハナシがヘンな方向に行っちゃうっていう悪寒.

「O博士が3年間に2冊しかノートを記録していなかったことが話題になってます→理系の人々の中にはコレは少なすぎると言う人々もいます→何冊くらいだったら正常なんでしょうか?→例えば北里大学の中略→この例をみると2冊って少ないですね→R研のチェックはどうなっていたんでしょうか博士号を出したW大の責任は指導教授の教育方針は我が国の科学教育の暗部に以下略」

っていうストーリーを感じるのです.

コレがイヤ.

一方で,「理系の人々の習慣/日常/おやくそく」ってのをたくさんの人々に知ってもらう機会ってのは,こういう事件でもないかぎり,そう滅多にあるもんじゃないですよね.だから,O博士の件とは別件として,「実験ノートってどんなもの?」っていう取材には協力することにしたんです.

協力する条件は以下のとおり.

  • 編集後,放映前に私自身でチェックする機会が与えられていない状況では,動画でも音声でも,収録は全て断る:制作側に悪意がなくても,私の意図と異なるストーリーに組み込まれる可能性があるから
  • すべてのやりとりは電子メールで行うこと: 電話は二度とかけて来ないこと(電話キライ大っキライ)

としました.

最初に連絡してきた民放TV局は,その後,連絡をして来ませんでした.
その次に連絡してきたのがTBSで,上記条件に従って,私がこれまでに公開してきたコンテンツの一部が放映されることになりました.それが「ひるおび!」っていう番組*2

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TBSからはその後,別の番組のプロデューサーからメールが来て*3,実験ノートの現物を貸して欲しいって頼まれたんですが,これはムリなんで*4,代わりに「すでに論文になってる数年前の実験記録の中から適当にカラーコピーしてスキャンしてPDFにしてコメント入れて送るから適当にアレしてください」でOKとなり,ファイルも送ったんですが,コレは放送されないことになりました.

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↑TBSに提出したファイルの一部.Acrobatのコメント機能まじで便利.

なんで放送されないことになったかというと,TBSのハナシでは,TBSから北里大学の広報課に連絡してみたところ,広報課がダメ出ししたからだそうです.どんな具合にだったかはわかんないし,どうでもいいんですが,私としてはノジマ・フォントを全国に公開する機会 実験ノートっていうものを放映してもらう機会がなくなってしまって,ちょこっと残念.

って思っていたんですが,今の段階で私は,理由が何であれ,北里大学広報課の判断は私にとって良かったんじゃないかって思えてきてます.

なんでかっていうと,今回私の マニアックな ノートが放映されることになってた番組は,O博士関連の番組だったからです.そういうところで私が実験ノートについて取材協力すると,私がO博士を叩く側にいるような印象を与えるからです.

今の私はO博士にもS細胞にも興味がなくて,この問題については中立,っていうよりも,無関係で無関心.あ,割烹着は実用的かもしれかいから検討しようって考えてる程度です.化学研究じゃなくて家事をやるときにね.

「せっかくスキャンしてコメント入れたPDFをつくったのにーーー」って思っていたものの,Twitterのタイムラインを見ていたら,「『O博士の件で』私が実験ノートについて説明」って理解してる人が多かったし,「ひるおび!」の放映後には75才の母から電話がかかってきて,叔母だとか叔父だとかが同じテレビ見ていて母のところに電話をかけて来てどうのこうのとか,民放TV局で女子アナやってる私のイトコ*5がそれを知って叔父に連絡してきたとか,「アンタみたいなのが大学で准教授やってるなんて知らなかったわよ助手とか非常勤講師とかそういうのだと思ってたわよ」とか,「お父さん(1998没)が生きていたらどうのこうの」とか,どうでもいいことで騒いでいて,ここでもぜんぶ「O博士の件で〜」ってなっていて,「私の考えは正しく,O博士は間違っている」って理解されているみたいで,「なーんだ,結局,私の意図は伝わってないんだなー」って思ったわけです.

そういうわけで,O博士関連で私の実験ノートが放映されることもなさそうなわけですが,O博士問題とは切り離して,マスコミのみなさまからのお問い合わせがあった時には,上記PDFも喜んで提供するし,「実験ノート」について解説したスライドも提供します.スライドはこれまでに教育関係者の方には提供し続けてきました*6.連絡先はこちら↓
www.tnojima.net

電話はかけて来ないで下さい.電話はゼッタイにかけて来ないで下さい.重要なことなので2回書きました.私は電話がキライです.

【追記:2014-04-13】この記事から続く記事

この記事から続く記事↓
www.tnojima.net

このブログを書いている人

www.tnojima.net

おまけ

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*1:Google検索でこのキーワードを使う人がアクセスして来るようになってですね,以下略.

*2:画像はTBSサイトからのキャプチャー.2014-04-03.

*3:ココ,重要.電話じゃなくてメール.だから協力しようっていう気になった面もあります.私は電話がキライです.

*4:「実験を行ったことを証明する物的証拠」って「実験ノートって何でしょう?」に書いてあるでしょ? それと,まだ論文とか特許とかにしてない部分があって,ソコが放映されちゃうと困るんです.

*5:かわいい♡←重要

*6:今月は大阪大学と横浜市立大学に提供しました.