進学先の学部や学科を選ぶときに,高校までの苦手科目とかキライな科目と関係ありそうなところを避けるところから始める人は珍しくないのですが,理系大学進学にあたってコレをやると大学に入ってから痛い目に遭うことがあるので,受験生のみなさまはご注意ください.
文系は知らない.
(1) 英語からは逃げられない
よくあるのは「英語がアレだから理系に行こう」パターンなんですが,理系大学に進学しても英語が1年目から必修科目として待ち構えているので,英語から逃げるのは不可能なわけなんです*1.
逃げられないよ!
くわしくはコレ参照↓
www.tnojima.net
(2) 数学 and/or 物理から化学系 に逃げても数学 and/or 物理が追いかけてくる
「数学や物理がアレだから化学系に」も死亡パターンです.
化学系では必修科目の一つに「物理化学」ってのがあって,ここでは微積分を駆使して熱力学を倒すわけなんです.
さらに,理学系の化学だと「量子化学」,工学系の化学だと「化学工学」が必修になっていて,どっちも微分方程式とか偏微分とかが出てくるので,数学や物理から逃げるために化学系に進学した人々には,
「いじめられっ子がいじめっ子に会わないように学校の帰り道に遠回りして行った先で,待ち伏せしていた いじめっ子に遭遇したときのようなシーン」
が待っているわけです.
(3) 化学から逃げて生物系に行っても化学トラップがある
「エネルギーとかモルとかがイヤだから生物系に」も死亡パターン.生化学とか生理学とかの実験には水溶液を使うんだけど,モル濃度がわかってないとゲームオーバー.
細胞のしくみを学ぶときは太陽光を使って生体高分子を合成するプロセス,なんてのが出てくるんだけど,化学エネルギーがわかってないとココで挫折.
逃げられない逃げられない苦手科目が大学まで追いかけてくる逃げられない
他にもイロイロありそうだけど,上の(1)〜(3)は私のまわりにもたくさんいて,「こんなはずじゃなかったのに〜!」と叫んでいるので,よくあるパターンとしてお知らせしておきます*2.
逃げるのは苦しいが追いつくのは苦しくない
「○○がアレだから○○から逃げられそうな△△を専攻することにした」的な考えはオススメしません.だって,ホントに○○から逃げられるかどうかってのは,大学に入ってみないとわかんないでしょ?
高校3年生までの経験と判断力なんてアテにならないんですよ.
同様に,「▽▽を専攻したいんだけど▽▽には○○が必要そうで,その○○がダメだから▽▽を専攻するのは止めて,○○と関係なさそうなところを選んで進学しよう」っていう消去法もオススメしません.▽▽に興味があるんだったら,大学に入ってから○○にキャッチアップできる可能性大だからです.
北里大学には「学習サポートセンター(ASC)」という場所があって,中学や高校を定年退職されたベテランの先生が,高校レベルの英語,数学,物理,化学,生物の個別相談をしてくれます.ここに通い詰めて給付奨学金ゲットを達成した学生が何人もいます.
それから,卒業単位数にカウントされませんが,数学,物理学,化学,生物学の高校レベルの補習コースが用意されているので,ここでキャッチアップすることもできます.
21世紀の大学にはそういう仕組みがあるので,「入ってしまえばなんとかなる」のも確かです.
何かから逃げて来た場合はキツいだろうけどね.
結論
- 高校3年までの人生経験で逃げ道を選んでも逃げられない.
- 消去法で選択肢を選ぶと大学生活がつまらなくなる.
- なんかおもしろそうだなーって思ったら,いまの得意/不得意を無視して自由に進学先を選べばOK.
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このブログを書いている人
*1:大学によっては,英語ではない外国語を選択して英語から逃げるという手が使える場合もあるみたいなんですが,中高6年間英語をやってお手上げっていう人々は,イギリス語がダメなんじゃなくて外国語がダメな可能性大なので,結局,苦労するわけです.
*2:一方で,数IIIC + 化II + 物II のセットを高校でやってきた層は生物学で苦労するかっていうと,そうでもありません.入学時に生物学についての知識に差があるだけなので,キャッチアップ余裕.三角関数が積分できないとか,単位換算ができないといった問題と比べればマシです.将来の使い回しを考えるんだったら,高校生には数IIIC + 化II + 物II のセットがオススメですね.選択できるのであれば.