昨今の大学生はスライドを使った講義に苦しんでます.古典的な「黒板+口頭説明」と比べて進行が速く,内容も増え,それに伴って消化不良を起こしてるからです.
配布資料がないと「何をやったのか」もわからないまま90分間が過ぎてしまうこともあります.配布資料があっても,スライドがそのまま縮小印刷されてるだけで役に立たないなんてことがあります.投影用スライドと配布物とを同じファイルで済まそうっていう間違った考えから,びっしりと文章が詰まったスライドが投影されることもあります*1.
なんでこうなっちゃってるのかっていうと,スライドを使った講義をやってる世代が大学生だった頃,我が国ではスライドを使った講義なんて行われていなかったからです.自分が受講したことの無い形式の講義を大学のセンセーがやってる,そりゃもうアレなわけですよ.自分が体験したことのないものごとを上手にできる人間なんて,レアな存在ですからねぇ.
っていうわけで,講義担当者に改善要求したところでアレなので,講義を受ける側で対策を立てなければならないわけです.しょうがない.
次のようにやればOK.たぶんね.
(1)講義中にやることと,講義が終わってからやることを分けて考える
講義時間内にすべての記録を残し完璧に理解しよう,などという高度な目標を立てるのは諦めて,講義時間内には「その時間に何が扱われたのか」を記録するだけにします.「それが何なのか/どういうことなのか」について理解するのは講義が終わってからに先送りします.
建設的先送り作戦.
(2)講義中に扱われたすべてを記録しなくてOK
講義で扱われたのが何だったのかさえ記録しておけば,その内容を後で落ち着いて調べ直すことができます.授業時間内に全ての情報を正確に残さなくても大丈夫.
(3) 講義中は何をやるのか
スクリーンに投影されるキーワード,教員が話すキーワード,とにかくキーワードをかたっぱしからメモして行きます.「何が扱われたか?」は後から確かめることができないからです.「それが何なのか」は後からでもなんとかなります.
(4) 講義の後でやること
記録を情報に変えます.キーワードは登場順に並んでいるので,キーワードを元にその講義で説明された内容をストーリーにしてみます.別の学部や学科の友人に説明する場面を想定してみるのがオススメ.
意味が思い出せないキーワードがあったら,書物なりウェブなりで意味を調べてノートに記録し,説明できる状態にしておきます.このときに説明イラストやまとめの表を記入してみよう.
(5) 何を記録「しない」のか
「記録しておいたほうが良い」系のものごとを全部記録するのはムリ.記録「しない」ものごとを決めておくのが効率的な作戦です.
スクリーンに投影される表をまるごと暗記しなければならない,ということはありません.そういう表ならば別に配布されることでしょう.表のタイトルだけメモしておいて,あとで書籍をめくるとかウェブ検索するとか.重要な表ならみつかります.
人体とか細胞とか複雑な電子回路といった精密イラストをノートに写すのも止め.何の図が投影されたかだけ記録しておきます.投影される図だってどこかからの引用だったりします.重要な図なら必ずどこかでみつかります.カメラで撮影するという手もあります*2.自分で探しに行けば,もっとわかりやすい図が見つかることもあります.
動画もノートにとるのはムリ.重要な内容のムービーなら必ずウェブで公開されてるので,それを検索すればOK.Google検索で「動画」オプションを入れてキーワード入力.いろいろみつかることもあるので,見比べてみましょう.
(6) 何のために講義に出席するのか
あとから調べるのであれば,何のために講義に出席するのでしょうか?
一つの目的は,後から何を調べるべきかを知るためです.
一つのものごとを体系的に理解するために必要な骨格を与えてくれるのが,大学の講義です.与えられるのは骨格だけなので.授業時間内だけで体系化が終わることはありません.骨格にはあなたが自分自身で肉付けをしなければなりません.そのために,あなたが具体的に何をしたらよいのか,あなたがどのような情報を確認しなければならないのか,をはっきりさせてくれるのが大学の講義だと考えるのです.
【絶対にやれ】キーワードのリストからストーリーを組み立てる【すぐにやれ】
メモしたキーワード一覧からストーリーに変える作業は1分でも早く開始すること.一方的に蒸発して行く記憶が残っているうちにストーリー化しないと,不正確なストーリーづくりを長時間で組み立てる結果になります.その日のうちにやっつけるのがオススメ.次の休み時間でもいいくらいです.スピード重要.
絶対にやれ・すぐにやれ
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