Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(24)酸素を含む有機化合物その2

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キーワード

エステル化,けん化,生分解性ポリマー,せっけん,フィッシャーのエステル合成,プロドラッグ,油脂

今回でてきた有機化合物で,構造と名前を覚えておかなければならないもの(すでに登場したものも含む)

エタノール,エチレングリコール,グリコール酸,グリセリン,酢酸,酢酸エチル,サリチル酸,サリチル酸メチル,テレフタル酸,乳酸,ポリエチレンテレフタラート(PET),ポリグリコール酸(PGA),ポリ乳酸(PLA),メタノール,油脂.

講義内容要約

  • 酸を触媒に用いてアルコールとカルボン酸を脱水縮合させるとエステルが得られる.これをフィッシャーのエステル合成と呼ぶ.
  • フィッシャーのエステル合成は可逆反応.
  • フルーツの香りは,さまざまなエステルによるものが多い.
  • 医薬品のカルボン酸をエステル化して細胞膜透過性を高めたものがプロドラッグで,体内の加水分解酵素でカルボン酸に戻り,薬効を示すようになる.
  • エステルを強塩基と反応させてカルボン酸の金属塩にする反応が けん化.
  • 3分子の,炭素数が18から20程度のカルボン酸がグリセリンと脱水縮合した構造の化合物が油脂で,油脂をNaOHで処理して得られる,カルボン酸のNa塩がセッケン.
  • エステルのポリマーがポリエステルで,PETはその代表的な化合物.
  • 生分解性ポリエステルは,抜糸手術の不要な縫合糸として利用されている.
  • アルコール,アルデヒド,ケトン,カルボン酸は水素結合する.
  • カルボン酸は分子間で水素結合して見かけの分子量が2倍になるから沸点や融点が高い.

確認問題

  • エステルの加水分解に関する基本問題

出席者の声:みんなはこういうことを考えている/感じている/知りたいと思っている

●ざせつ
●ざせつ
●ざせつ
●今日はレタスが安いです
●わすれかけていてやばいです
●メッチャ忘れてます
●復習がんばります
●有機化合物の名前を覚えないと思った.
●エステルはすごい!!
●酸化・還元がわかりませんでした.
●最後わからない
●もうすぐ20才なのでお酒が飲めるのが楽しみです.
●おもしろかった.これからお酒とのつきあいに気を付けたい

●「ウコンの力」という商品がありますが,あれはどのようなケミストリーなんですか?

アレ,効果があるとはいいがたくて

出席者数推移

(1)89→(2)89→(3)87→(4)80→(5)79→(6)75→(7)79→
(8)73→(9)74→(10)74→(11)78→(12)75→(13)71→(14)76→
(16)76→(17)66→(18)65→(19)63→(20)65→(21)63→
(22)56→(23)56→(24)57

次回予告と予習内容

ベンゼン環を含む有機化合物について学びます.イロイロな化合物が出て来るし,これまでに学んでいない概念も出て来るので,配布物で必ず予習し,理解できない点について講義で学ぶやり方をすること.いきなり90分間の講義を聞いてすべてを理解しようとするのは無謀です.

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野島高彦(@Takahiko NOJIMA)はこういう人 - 大学1年生の化学(北里大学・野島高彦)

はじめて学ぶ化学

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参考書籍

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