Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(21)有機化合物の世界

f:id:takahikonojima:20141015171232j:plain

キーワード

アルカン,異性体,エナンチオマー,官能基,軽油,原油,構造異性体,残油,ジアステレオマー,シクロアルカン,示性式,重油,石油,石油化学基礎製品,石油ガス,脱離反応,置換反応,直鎖アルカン,転位反応,灯油,ナフサ,付加反応,不斉炭素原子,メソ化合物,立体異性体

今回でてきた有機化合物で,構造と名前を覚えておかなければならないもの

エタノール,エタン,エチレン,オクタン,m-キシレン,o-キシレン,p-キシレン,クロロホルム,クロロメタン,酢酸エチル,四塩化炭素,シクロヘキサン,ジクロロメタン,ジメチルエーテル,トルエン,1,3-ブタジエン,ブタン,1-プロパノール,プロパン,プロピレン,ヘキサン,ヘプタン,ベンゼン,ペンタン,ポリエチレン,メタン

事前配布資料

前回の講義終了時に予習用の資料を配付しました.コレがテキストになってます.

講義内容要約

  • Cを含む化合物が有機化合物.でもCO2とかNaCNとかは含めない.
  • 種類は多い:8000万種類以上ある.
  • 構成元素の種類は少ない:C,H,O,Nがメインで,他にS,P,ハロゲン,その他がたまに出て来る.
  • 基本骨格はCとHで,ここにイロイロな官能基が付いて構造バリエーションを広げる.
  • 有機化学の反応パターンは4種類だけ:付加,脱離,置換,転位.
  • 分子を描くときに全部の原子のつながりを描くのは面倒だから,炭素と水素とをまとめて描くとか,示性式を使うとか,折れ線で結合をあらわす方法を使うといった,イロイロな方法がある.
  • 異性体がイロイロある:まず構造異性体と立体異性体に分ける.4種類の異なる原子あるいは原子のグループを結合したC原子を不斉炭素原子と呼び,コレがある分子には立体異性体が存在する.立体異性体はエナンチオマーとジアステレオマーに分類される.鏡に写った構造どうしがエナンチオマー.そうじゃないものどうしがジアステレオマー.鏡に映した自分自身が本物と同じ構造なのがメソ化合物.
  • 人間の身体は立体異性体を見わける.たとえば2種類あるグルタミン酸のエナンチオマーの片方に「うま味」を感じるが,もう片方には味を感じないし,やはり2種類あるリモネンのエナンチオマーの片方はオレンジの香り,もう片方はハッカの香りを感じる.薬剤の場合,立体異性体の一つだけが有効な成分で,他の立体異性体が有害だったりするから注意が必要.
  • 基本骨格がCどうしの単結合で組み立てられているのがアルカン.炭素数が増えるに従って常温常圧で気体→液体→固体と変わって行く.
  • アルカン分子内のHが外れて他の原子とか官能基とかが入る反応がアルカン分子の置換反応.アルカンが関係する反応は置換反応がメイン.他には燃焼反応くらい.
  • 油田から取れる原油をタンカーで石油備蓄基地に運び,熱をかけて沸点の違いで数種類の成分に分ける.その一つがナフサ.ナフサを熱とか触媒とかで処理して得られるのが石油化学基礎製品(エチレン,プロピレン,ブタジエン,ベンゼン,トルエン,キシレン)で,化学合成される有機化合物の大半は,コレを出発材料としている.

関連情報

人類が合成 & 発見した化合物の数を示すカウンターが設置されている場所

確認問題

ジアステレオマーとエナンチオマーの区別がついているかどうかを確かめる問題と,石油化学基礎製品の化学構造を見わけられるかどうかの確認問題.

出席者の声:みんなはこういうことを考えている/感じている/知りたいと思っている

●がんばります
●予習もがんばります
●しっかり復習します
●よく分かりませんでした
●エナンチオマーとジアステレオマーをすぐ見わけられるようにしたい
●高校で学んだこともありなつかしかったです
●有機化合物には色んな種類があると思うと楽しいです.なにかおもしろい性質をもつ化合物を教えて下さい.
●電車が3分遅れたりバスが渋滞で遅れたりしただけでイライラするのって日本人ぐらいだなと思いました.遅刻しなかっただけ良かった.

f:id:takahikonojima:20141015171249p:plain

●CH4とCl2で置換反応を起こすときに光エネルギーを使いますが,それは紫外線のエネルギーですか?

そうです.

出席者数推移

(1)89→(2)89→(3)87→(4)80→(5)79→(6)75→(7)79→
(8)73→(9)74→(10)74→(11)78→(12)75→(13)71→(14)76→
(16)76→(17)66→(18)65→(19)63→(20)65→(21)63

次回予告と予習内容

「(22)アルケンとアルキン」を学びます.医療現場で用いられる様々な化合物の工業合成法とそのしくみ,身の周りの樹脂や繊維の原料の多くを占める「ビニル系ポリマ−」や,電気を通す有機化合物について学びます.配布物で予習してくること.予習してこないと恐らく付いて来られません.高校の教科書には載っていない内容が多く出てきます.

有機化学のSNS/web連動企画を始めたよ!

このブログを書いている人


野島高彦(@Takahiko NOJIMA)はこういう人 - 大学1年生の化学(北里大学・野島高彦)

はじめて学ぶ化学

はじめて学ぶ化学

参考書籍

有機電子論解説―有機化学の基礎

有機電子論解説―有機化学の基礎

マクマリー有機化学〈上〉

マクマリー有機化学〈上〉

  • 作者: マクマリー,John McMurry,伊東〓,児玉三明,荻野敏夫,深澤義正,通元夫
  • 出版社/メーカー: 東京化学同人
  • 発売日: 2009/02
  • メディア: 単行本
  • クリック: 8回
  • この商品を含むブログ (15件) を見る
図解でわかる 有機化学のしくみ

図解でわかる 有機化学のしくみ