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Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(2)原子〜この世界を形づくっている材料〜

医療工2014

キーワード

K殻,L殻,M殻,SI単位,温度,価電子,原子,原子核,原子番号,元素,元素記号,光度,最外殻,時間,時限,質量,質量数,速度,体積,単位,同位体,中性子,電子,電子殻,電子配置,電流,長さ,物質量,物理量,閉殻構造,陽子

講義内容の要約

  • 分子をバラすと原子になる.
  • 原子は電子と原子核から組み立てられている.
  • 原子核は陽子と中性子から組み立てられている*1
  • 陽子の数が同じで中性子の数が異なる原子どうしが同位体.
  • 同位体を意識して区別しなければならない場面は,医療に関係する範囲では診療放射線のあたり*2
  • 原子の中で電子がどのようにレイアウトされるのかにはキマリがある: とりあえず太陽の周りを惑星が回転しているようにイメージしておいてOK; 内側の軌道から2個,8個,18個,2n2個の電子が収納されて行く*3
  • 物理量をあらわす国際ルールがSI単位系.
  • この世界のすべての物理量は7種類の基本的な次元とSI単位を組み合わせて表わせる: たとえば速度の次元は「長さ/時間」で,SI単位ではm s-1を用いる.
  • 単位換算計算や接頭語の変換には楽勝なやり方がある.

おまけ:非SI単位「スムート」

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出展:http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/7b/100_Smoot_mark.JPG
半世紀前,マサチューセッツ工科大学の学生が,スムートという学生を単位に橋の長さを測りました.橋の長さは364.4 スムート+1 耳.スムート君は卒業後,国際標準化機構(ISO)の会長,全米規格協会(ANSI)の会長もつとめました.2008年には「スムート単位誕生50周年記念式典」まで行われました.事実は小説より奇なり.

意外とできない数値計算

小学生の算数レベルなのになぜか理系の大学生が間違ったり混乱したりする計算問題.微積もベクトルも使わないのにね!

出席者の声:みんなはこういうことを考えている/感じている/知りたいと思っている

●授業スピードが速かったがハイテンションでした.
●毎回の授業がとても楽しいです.化学がもっと好きになりました.
●先生の授業はわかりやすくて,とてもやる気が出るので,楽しいです.パワーをもらえるので,予習,復習も他の教科もがんばります!
●野島先生の講義を受けるたびに自分が無知であることに気付かされます.多くを吸収して有能になります.
●とてもわかりやすく楽しかったです.
●おもしろい講義でした.
●今日もおもしろい授業でした.
●しっかり復習して来週までにマスターします!!
●思っていたより時間がかかりました.あっていても不安です.
●今日も無事に遅刻せず出席できました! あと数回がんばります.化学は苦手ですが楽しく学びたいと思います.
●復習をしっかりやってマスターしてきます.
●マスターする.
●毎時間1つずつ理解が進み1つづつハッピーに近づいて楽しいです.
●今日は遅刻しなかったので次回も遅刻しないです.
●次回も遅刻しない!
●意外とできなかったです.
●いざやれ!と言われるとできないものだなと思いました.今までいかに何となくで単位換算していたかがよく分かりました.
●桁がずれてしまうのは医療の現場ではとても怖いことだと思いました.将来,そういうミスがないようにします.
●意外と難しかった.
●第2回の講義ありがとうございました.単位の変換は,覚えたものでやっていましたが,原理を改めて確認できました.
●来週はエネルギーについて学ぶのでエネルギーについてパソコンで調べてきます!

●このような計算がサっと出来ないのがくやしい.
●といているとパニックになります.
●単位の変換は苦手だと感じた.
●意外と難しい.
●単位変換がスムーズにできるように練習しておきます.
●意外と数値計算がスムーズにできなかったので,次回までに完璧にしておく!
●説明を聞いているだけだとできそうだったが,意外と難しかったです.
●以外に数値計算ってむずかしいですね(> <)
●単位換算などあまり得意でなくいつも困ってました.今日中に身につけ完璧にしたいです.

こういう計算で苦しむのはユトリ教育を受けた世代だからです.ユトリ教育を受けたことは,ユトリ教育を受けた人々の「責任」ではありませんが,その世代にとっては人生に重大な影響を与える「問題」です.だから大学1年生のうちに「いかにできないか」を実感して,問題点の克服に取り組まなければ no future.

●物理量の感覚を意識することも大切だということに気付くことができました.

「それってどれくらいの量?」っていう考え方を4年間にわたってすべての物事に当てはめることが効果的.

●先生のプレゼンが上手すぎた! 高校の化学では最外殻電子と価電子って厳密には違った気がするんですが.

プレゼンの技術は大学外の人々を相手にする仕事を長く続けながら身に付けたものなので,「だいがくのせんせーがやってるパワーポイントのつかいかたー」とは全く違うやり方をしています.レーザーポインター使わないしね.アレはダサいよ*4

最外殻電子と価電子の関係は原子番号18番までしか当てはまらないのですが,この講義では厳密性よりも理解のしやすさを優先してるので,こういうことが起きます.

●今までモルをmoℓと書いていたので,「ℓ」を使うのは恥だと言われ驚きました.何とか直すよう努力しますが,書いてしまいそうです.

そういうときはしょうがないんだけど,とりあえず「リットル」を「ℓ」で書くのはダメ.

  • 単位はブロック体で書く
  • 数値と単位をくっつけない
  • 単位に [m]みたいなカッコを付けない

が国際ルールなんで,そういうのを守れる技術者になることです.

●SI単位については国際基準ということでわかりましたが,自分が気になったのは,日本やアメリカでの「,」や「.」の扱いが,スペインやオランダのそれの扱いと逆だと聞いていたのですが,それについては構わないのでしょうか? <例(日米)1.75 = 1,75(西蘭)>

一つの文章の中で「.」と「,」を混在させないこと.

●プリントが2016年度になっています.来週もよろしくお願いします.

いつも未来のことを考えてるんで日付が未来に飛ぶんです.失礼.

●スムートくんの耳は何スムートですか? ボルトをSI単位系であらわすと何になりますか?

耳が何スムートかは不明.1 V はこう考えよう.
1 W = 1A × 1 V ってのを義務教育で習ってるはず.
だから1 V= 1 W/A になる.
1 W っていうのは,1 s の間に1 J の仕事をしたことを表してるので,1 W = 1 J/s になる.
1 J っていうのは,物体を 1 Nの力で1 m の距離移動させるエネルギーを表してるので,1 J = 1 N m になる.
1 Nっていうのは義務教育で習ったニュートンの第一法則 f=ma のとおり,1 N = 1 kg m/s2 になる.
以上を組み合わせて考えてみよう.

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出席者数推移

(1)89→(2)89

次回予告

「(3)化学とエネルギー」を学びます.教科書にはエネルギーについて書いてないので,配布物を読んで予習してくること.コレを読んでわからなければ,学習サポートセンター(ASC)の化学あるいは物理学のチューターから指導を受けること.

教科書

はじめて学ぶ化学

はじめて学ぶ化学

*1:水素-1を除く.

*2:講義第20回で扱う.

*3:講義第7回「原子軌道と分子の形」でこの考え方をひっくり返す.

*4:化学要習は共通スライドを使ってるからレーザーポインターを使ってるけど,ビーム飛ばすたびにダサいって感じてる.