Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

化学再履修2年生対象の集中講義2013夏

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昨年度,1年生の必修「化学」で最終的に不合格となったまま2年生に進級した学生向けに,今週月曜日から前期分の「化学」集中講義が行われています.1限から4限までびっしり.延々と「化学」.

何のためにそんなことをやってるのか

本来なら1年生といっしょに講義に出席する「再履修」をするべきところですが,その時間帯に2年生向け必修科目が入っている場合には,他学部/学科/専攻の1年生向け「化学」の中から,必修科目と重なっていないコースを選んで「再履修」となります*1

しかし,どのコースも必修科目と重なってしまっている場合や,2年次から遠隔地キャンパスに移っている場合には,その手が使えません.そういう2年生を対象に,学部/学科/専攻を問わず一括して集めて集中講義を行う方式が昨年度から採用されています.昨今の「単位認定の実質化」に伴って,「再履修」学生でも「半期15回分」に相当する教育を実施しなければならなくなったため,無理矢理8月に集中講義をやることになったわけです.

今年度はどうなっているのか

今年度は,獣医学部生物環境科学科の2年生と,医療衛生学部医療工学科臨床工学専攻の2年生がこの夏期集中講義を受けています.それぞれ1年生のときには別の担当教員からそれぞれの学科に向けて組み立てられた「化学」講義を受講していたわけですが,集中講義ではそれもムリなので,化学の基礎の基礎を復習するということで,高校化学I未習得者向けのリメディアル「化学要習」の内容を全12回に分けて学び,レポート提出と試験と試験解説を組み合わせて半期15回分の内容としています.専任教員6人で分担して担当しています.

後期はどうするのか

後期については,獣医学部生物環境科学科の学生は冬期集中講義と試験が行われます.医療衛生学部医療工学科臨床工学専攻は水曜1限に必修科目が入っていないので1年生といっしょに講義を受け,後期試験を受けることになります.

再履修回避のために1年生でベストを尽くすべきである


再履修で集中講義を履修すると経済的損失が生じる

4日間の夏期集中講義では,課題レポート作成や試験とその解説も含めて,少なくとも15コマ分の再教育を受けることになります.15×90 分=1,350分が最低拘束時間となります.自宅なり下宿なり宿泊先なりから大学まで片道60分かかったとすると,4日間で480分間を移動に使うことになります.1限と2限の間に10分間,2限と3限の間に50分間,3限と4限の間に10分間の休み時間がありますが,これらは実質的に拘束時間です.休み時間の合計は280分.以上を合計すると,4日間で2,110分間=35時間強を再履修に費やすことになります.この35時間で時給1,000円のバイトをしたなら,3万5千円の収入が得られます.

十和田キャンパスからだと交通費が往復35,900円がかかり,さらに一泊5,000円のホテルに泊まったとして3泊で15,000円.合計50,900円がかかることになります.十和田で時給900円のバイトをしていたとしたら,56時間以上のバイト時間になります.ここには移動時間が含まれていません.

なお,以上のコスト計算は半期についてのものです.通年ではコレの2倍のコストがかかります.時給1,000円のバイトをしていれば得られたはずの収入は70,000円,宿泊を伴うキャンパス移動は2回やれば10万円を超えます.1年生のときに「ふつうに」勉強していればこういうことにはならないわけです.「ふつうに勉強しない」っていうことは,これだけの経済的損失を招くわけです.

再履修で集中講義を履修すると夏の思い出づくりもできなくなる

夏期集中講義の期間は,部活やサークルのイベントが計画される期間でもあります.合宿とか試合とか演奏会とか旅行とか,学生生活のステキな思い出ができる期間でもあるわけです.そういうのに加われなくなるのは人生の損失です*2.というわけで,現1年生のみなさまには,1年生の単位は何が何でも1年生のうちの取得を目指すようオススメします.2年に回しても何もいいことはないわけですからね!

今年度の1年生はマジで注意

再履修者に対する対応は毎年変わっています.今年度の必修科目で不合格となった学生に対する対応は,来年度は変わる可能性大です.「単位認定の実質化」で,再履修の学生は15コマ分に相当する授業を受けなければならなくなってきています.これまでは再履修になったらレポート課題の自宅学習で済んでいた科目も,来年度からは集中講義になる可能性があります.そうなると,2個以上の必修科目を落としていた場合に,集中講義の時間帯がぶつかる可能性が出てきます.集中講義を開講できる期間は限られていますからね.そうなっちゃうと,1年生の必修科目を残したまま2年生に進級しても4年では卒業不可能となるかもしれません.

結論:4年*3で卒業したければ勉強しろっていうことですよ.

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*1:たとえば昨年度の「化学」不合格となった医療工学科診療放射線技術科学専攻の学生は,今年度の海洋生命科学部1年生向け「化学」を「再履修」しています.

*2:実際に,スポーツサークルに所属している再履修者が,学生時代唯一の対外試合のチャンスを集中講義で失っています.3年4年になると夏期実習があるため,2年生の夏が唯一のチャンスだったそうですが,しょうがないです.

*3:6年コースでは6年.