Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

2012年度海洋生命科学部1年D組みんな揃って進級プロジェクト成功! #mbd2012

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海洋生命科学部1年D組が,途中で進路変更した1名を除いて,全員揃って2年生に進級することが決まりました.クラス担任*1をやっている私としても大変嬉しいことです.

留年は悪ではない

私は留年が悪いことではないと考えているし*2,学生には学則で定められた年数だけ大学に籍を置く権利があると考えているので,いっしょに入学したらいっしょに卒業,というのが目指すべき姿だとは思っていません.

幸せのかたちいろいろ

特に,海洋生命科学部に入学して来る学生の中には,三度の飯より魚のことを考えている方が幸せだという者が少なからずいて,海だ! 釣りだ! 水族館だ! 魚図鑑だ! 魚料理だ! と騒いでいて勉強どころではないわけです*3.勉強しなければ進級できないわけですが,そういう愛するものがあって学生生活が延びちゃうっていうのは,それはそれで一つの幸せなのではないかと私は思うわけです*4

ワンモア1年生はオススメしない

しかし,どうせ留年するならせめて2年に進級してからにしたいものです.というのは,ワンモア1年生をやることになっちゃうと,大学生活を続ける意欲が低下し,退学を考えるようになりがちだからです.勉学に対する意欲低下のリスクは卒業まで発生するものですが,特にこのリスクは1年生で高くなりがちです.1年生のうちは専門科目を学ぶための準備的な内容の科目がほとんどで,退屈に感じてしまいがちだからです.中退は罪ではありませんが,専門科目のおもしろさに触れることなく大学を去るのはもったいないことです.ここでドロップアウトしてしまうと,大学で何を学んだのかよくわからない状態になってしまう恐れがあります.

2年には上がろうぜ

2年に進級して専門科目を学ぶ時間が増えてくると,それまでは本腰を入れて取り組む気にならなかった勉強というものに対して,ちょっとは熱意が出てくることも珍しくありません.だから,「とりあえず2年には進級する,留年とか退学とか自分探しの旅とかは,それから考える」という方針をオススメします.

進級プロジェクト

そういうわけで,1年D組の担任業務を担当するにあたり,全員揃って2年に進級させることは最大の目標だったわけです.後期にはSNS連動で「1年D組みんな揃って進級プロジェクト」を始めました.サボってる学生についての情報をTwitterで交換しあい,本人にTwitterのDMを送るとか,Facebookに書き込むとか.幸い,勉強熱心な学生有志がまとめプリントをつくって配付したり,勉強会を開いたり,姿が見えないと電話+メール+LINEしてくれたりしたので,大学に来て講義に出席し,課題を提出し,試験を受ける,という最低ラインはクリアできました.試験を受けたものの調子が出なかった層は,再試験や追加課題といった救済処置でセーフ.

成功の鍵

成功の鍵は,(全員ではなかったかもしれませんが)学生が「『全員揃って進級プロジェクト』が自分たちの問題だ」ととらえていたことです.

あとはまかせた

さて,2012年度1年D組のみなさんは晴れて2年生への進級が決まったわけですから,次の目標は3年生への進級です.「2012年度1年D組みんな揃って卒業プロジェクト」をスタートさせるかどうかは,みなさんの判断にお任せします.

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*1:北里大学での正式名称はクラス主任と呼ぶのですが,学生がやってるクラス委員と紛らわしいので,こっちの呼び方をすることも多い.

*2:私自身はには経験がないけどね.

*3:化学実験の手が動かず魚の話で盛り上がり,実験ノートを開けば魚の絵,なんていう者もいるわけです.

*4:学費を払ってくれている保護者にしてみれば,さっさと卒業して働いて欲しいところですが,それは別問題です.