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Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(24)酸素を含む有機化合物その2

履修登録93名,73名出席,出席率79 %.学祭は終わった直後の出席率は低め.そしてこれが回復することなく後期が終了する模様.

キーワード

エステル,共重合,けん化,酸無水物,生分解性プラスチック,せっけん,プロドラッグ,油脂

でてきた有機化合物

安息香酸,エタノール,エチルアルコール,エチレングリコール,ギ酸,グリコール酸,グリセリン,酢酸,酢酸エチル,サリチル酸,サリチル酸メチル,シュウ酸,セッケン,テレフタル酸.乳酸,ポリエチレンテレフタレート,ポリグリコール酸,ポリ乳酸,無水酢酸,メタノール,メチルアルコール,油脂

事前配布資料

前回の講義終了時に予習用の資料を配付しました.コレがテキストになってます.

講義内容要約

f:id:hrmoon:20121107145429p:image

  • カルボン酸とアルコールから脱水縮合でエステルが得られる.
  • エステル生成反応は可逆反応.
  • カルボン酸を還元するとアルデヒドで止まらず第一級アルコールになる.
  • カルボン酸2分子から脱水縮合で酸無水物が得られる.
  • エステルを強塩基と反応させてカルボン酸の金属塩にする反応が けん化.
  • 油脂をけん化するとセッケンが得られる.
  • エステル結合でモノマーがつながったポリマーがポリエステルで,代表的なのがPET.
  • 乳酸とグリコール酸の共重合体は生分解性プラスチックとして外科手術用スクリューや縫合糸に使われている.
  • 複数種類のモノマーを共重合させるのが共重合で,共重合で得られるポリマーが共重合体.
  • フルーツの香りはさまざまなエステルによるものが多い.

関連トピック

プロドラッグ:カルボン酸とエステル

医薬品のなかにはカルボン酸構造をもつものが少なくありません.そしてこの構造は細胞膜を透過しにくい構造でもあります.そこでいったんカルボン酸の部分をエステルにそておいて投与し,体内のエステル分解酵素に加水分解させて,本来の構造に戻す,という戦略がとられます.このような薬品のことをプロドラッグと呼びます.インフルエンザの季節に処方されるタミフルもその一例です.

飲酒の化学:アルコール,アルデヒド,カルボン酸

アルコール飲料として体内にとりいれられたエタノールは,アルコールデヒドロゲナーゼという酵素によって酸化されてアセトアルデヒドとなります.アセトアルデヒドは人体に有害な物質で,悪酔いや二日酔いの原因となります.しかし,これを分解する酵素アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼによって酸化されて酢酸になれば,代謝系によって二酸化炭素と水に分解されて体外へ排出されます.

日本人の45 %は,父親もしくは母親からうけついだアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子のどちらかが異常を起こしています.さらに日本人の5 %は,両親から受け継いだ遺伝子の両方が異常を起こしています.そういうわけで,日本人の半数はアルコール飲料によって悪酔いするしくみになっています.

酒は飲んでいるうちに強くなる,などと言って無理強いしてくる困ったヒトがいますが,それは間違いです.

新勧,学祭,年末年始の飲み会,卒業シーズンの追いコンなどの機会にアルコール飲料を無理強いされて死亡する事故が繰り返し起きています.飲酒の強要による事故が起きた場合には,その場に居合わせた者も過失を問われます.学生なら退学処分の対象となり得ます.くれぐれもご注意ください.アルコール飲料は二十歳を過ぎてから.

確認問題

コメント

●ざせつ●挫折●ザセツ●??●ざせつ●ざせつ●よくわかりません●お酒はこわいです●エステル化のしくみが思ってた以上に長い過程を経ているものだと知って驚きました●頭の中が真っ白です●むずかしい●わからん●

●体臭はエステルですか?

エステルも混じってるかもしれないけど主にカルボン酸.

次回予告

「(25)ベンゼン環を含む有機化合物」を学びます.配布物で予習してくること.

リンク

www.tnojima.net
www.tnojima.net

第19回までの範囲を解説した教科書

はじめて学ぶ化学

はじめて学ぶ化学

 

参考書籍

有機電子論解説―有機化学の基礎

有機電子論解説―有機化学の基礎

 
図解でわかる 有機化学のしくみ

図解でわかる 有機化学のしくみ