Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(22)アルケンとアルキン

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履修登録93名,出席80名,出席率86 %.

キーワード

開始反応,共役二重結合,高分子化合物,シス付加,重合体,生長反応,導電性ポリマー,トランス付加,付加重合,ポリマー,マルコフニコフ則,モノマー

でてきた有機化合物

アクリル酸,アクリロニトリル,アセチレン,エタノール,エタン,エチレン,塩化ビニリデン,塩化ビニル,酢酸ビニル,スチレン,テフロン,ブタジエン,プロピレン,ポリアセチレン,ポリエチレン,ポリ塩化ビニリデン

事前配布資料

前回の講義終了時に予習用の資料を配付しました.コレがテキストになってます.

講義内容要約

  • アルケンやアルキンのπ電子は正電荷をもつ粒子と作用して化学反応を引き起こす.
  • 工業的にアルコールを製造するときには,アルケンの二重結合に水をトランス付加させる.トランス付加というのは,アルケン分子平面の上から正電荷をもつ粒子が,下から負電荷をもつ粒子がくっつくパターン.Cl2,Br2,HCl,HBrとかも同じように付加する.
  • 二重結合で結ばれた2個のC原子のうち,すでにもっているH原子の数が多い方に次のH原子が付きやすい.これをマルコフニコフ則という.
  • パラジウムと炭素から成る固体表面上に水素とアルケンを通すと,二重結合に水素がシス付加する.シス付加というのは,アルケン分子平面の同一方向から付加が生じるパターン.
  • ハロゲンをもつアルカンに強塩基を作用させるとハロゲン化水素が抜けてアルケンが得られる.これは脱離反応の一種.脱離反応というのは,分子が抜けて分子量の減少した新たな分子が残る反応のこと.
  • 分子量の小さな分子が次々と連なって分子量の大きな分子になる反応が重合反応.重合反応の原料は単量体(モノマー),生成物は重合体(ポリマー),分子量が1万を超えたあたりから高分子化合物と呼ばれる.
  • 単結合と二重結合とが交互に続く構造パターンが共役二重結合.共役二重結合は連続した1.5重結合として考える.共役二重結合ではπ電子が自由に動きまわる.
  • 共役二重結合が延びた状態になっているポリアセチレンは人類初の電気を通すポリマー.

関連トピック

付加重合のメカニズム比較4パターン

ラジカル重合,カチオン重合,アニオン重合,配位重合の4パターンを紹介しました.高分子鎖の先端部で電子が新しい結合をつくるために働きます.

チーグラーナッタ触媒

チタン化合物を触媒に用いることによってマイルドな条件で付加重合が可能になりました.

自然界を彩る共役二重結合

銀杏の葉にはルテイン,ニンジンにはカロテイン,トマトにはリコペンが含まれており,いずれも共役二重結合をもつ化合物です.共役二重結合の長さと,周辺構造の違いによって色が変わります.

電気を通すプラスチック

アセチレンを付加重合させて合成するポリアセチレンは,人類初の導電性ポリマーです.ポリアセチレンよりも優れた様々な導電性ポリマーが携帯電話や医療機器のタッチパネルに使われています.

確認問題

アルケンの反応に関する基本問題.

コメント

●身の周りの様々なものに関わる内容でおもしろかったです●実験がんばります!●最近ネットゲームにはまり始めていてやばいです●ざせつ●ざせつ●挫折●ざせつ●ざせつ●むずかしい●よく復習しておきます●わかんないです

●ラジカル重合のR・がよくわかりません

共有結合が切れて電子が孤立した状況.たとえば塩素分子から塩素ラジカルが出るときは Cl-Cl → Cl・ + ・Cl

●構造式でHを省略しても良いと高校で教わったのですが省いて大丈夫ですか

折れ線で結合を書くときに炭素原子に直接結合している水素原子は省略OK.

次回予告

「(23)酸素を含む有機化合物」を学びます.2回に分けて学ぶ1回目.配布物で予習してくること.

化学実験履修者へのアナウンス

医療工学科の化学実験履修者は,明日から6週間にわたって木曜午後が実習日になります.化学実験を履修する上での注意事項を伝えました.

  • 白衣着用
  • 安全メガネ着用
  • ロングスカートおすすめしない→しゃがんだときに床の汚れが付くしあちらこちらにひっかかる
  • ハイヒールおすすめしない→転ぶ
  • マニキュアおすすめしない→溶剤で溶けてみっともなくなるし器具やサンプルを汚す
  • 前髪注意→垂らしているとバーナーで焦がす:ときどきハサミで処理してるヒトがいるが,そもそも化学実験室は床屋ではない

また,実験科目を無理なく無駄なく苦労なくやっつけるための資料を配付しました.

リンク

www.tnojima.net
www.tnojima.net

第19回までの範囲を解説した教科書

はじめて学ぶ化学

はじめて学ぶ化学

 

参考書籍

有機電子論解説―有機化学の基礎

有機電子論解説―有機化学の基礎

 
図解でわかる 有機化学のしくみ

図解でわかる 有機化学のしくみ