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Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(28)合成高分子化合物

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↑ポリマー実物見本.みのまわりのポリマーを探してきました.講義時間内に回覧しました.

暖房が入ったためか眠そうな学生が目立ちました.出席率もちょいと低下.あと2回で化学講義終了.

前回の講義についての感想コメント質問その他いろいろ

前回の講義録参照.

配布ずみの講義資料

キーワード

CFRP,FRP,GFRP,可塑剤,共重合,重付加,縮合重合,熱可塑性,熱硬化性,微結晶,不飽和ポリエステル,平均分子量,無定形

高分子化合物の分子量

高分子化合物は様々な分子量の分子が混ざった混合物です.そのため,平均分子量で分子のサイズを考えます.平均分子量は浸透圧から求めることができます.要復習:「浸透圧と透析」のところ.

縮合重合と付加重合

モノマーのつながり方には縮合重合と付加重合があります.例えばエチレングリコールとテレフタル酸からPETが合成されるとき,両分子の間では水分子が脱離します.このように重合時に低分子が取れる反応が縮合重合です.

これに対してエチレンからポリエチレンが生じるときには,低分子は取れません.このような反応を付加反応と呼びます.

縮合重合するポリマーの例

PET,6,6-ナイロン,ポリカーボネートなどが挙げられます.これらの重合について説明しました.

付加重合するポリマーの例

ビニル系ポリマーがこれに相当します.「アルケンとアルキン」のところで学びました.今回は省略.

共重合

付加重合反応の際に2種類以上のモノマーを使う方法です.モノマーの割合をうまく調整すると,両者の「いいとこどり」ができます.

たとえば塩化ビニルと塩化ビニリデンと1:4の比で共重合させると優れたラップ材のサランが得られます.

また,アクリロニトリルと塩化ビニルとを共重合させてつくったポリマーは難燃性繊維の材料になります.

重付加

ビニル化合物の付加重合とは異なるしくみで,低分子の脱離が生じない重合反応です.例としてポリウレタンの合成を採り上げました.

熱可塑性と熱硬化性

熱を加えると柔らかくなり,冷ますと硬くなる性質を熱可塑性と呼びます.一方,熱をかけると硬くなり,それ以降は柔らかくならない性質を熱硬化性と呼びます.

ビニル系ポリマーおよびPETは熱可塑性ポリマーの代表例です.

一方,尿素樹脂やフェノール樹脂は熱硬化性を示します.

熱可塑性ポリマーの分子構造

熱可塑性ポリマーの分子は,樹脂中ではところどころで束を形成しています.この領域を微結晶と呼びます.微結晶をつくっていない部分は無定形と呼びます.

熱可塑性ポリマーに熱をかけて行くと,無定形領域が先にほぐれ,続いて微結晶がほどけて行きます.このため,熱可塑性樹脂には明確な融点がありません.

移行

結晶領域を多くもつ高分子は,もろくなります.ここにしなやかさを持たせるために加える物質が可塑剤です.たとえば純粋なPVCは硬くてもろい材料ですが,可塑剤を加えて成型することによって,ソフトな材料にすることができます.

可塑剤には主にフタル酸のエステルが用いられています.

移行

消しゴムを,他のプラスチック製品の上に載せて何日間も放置しておくと,消しゴムがプラスチックの表面に貼り付いてしまうことがあります.この現象を移行と呼びます.

現在一般的な消しゴムには可塑剤を含む塩化ビニルが用いられています*1.この可塑剤は他のプラスチックを溶かすので,溶けたところから塩化ビニルの分子鎖が進入して行きます.そのため,貼り付いた状態になるのです.

そうならないように消しゴムは紙でできたケースに包まれて販売されています.

熱硬化性樹脂

尿素とホルムアルデヒドとを反応させ加熱すると,網目構造をもった分子のかたまりができます.これを尿素樹脂と呼びます.同様にフェノールとホルムアルデヒドとを反応させても網目構造をもった分子のかたまりができます.これはフェノール樹脂です*2.いずれも一度かたまると,それ以降は熱をかけてもやわらかくなりません.

不飽和ポリエステル

例えばマレイン酸とエチレングリコールとを脱水縮合させると,二重結合をもったポリエステルが得られます.このポリエステルをスチレンと混ぜてから共重合させると,ポリエステルの分子鎖どうしがポリスチレンで架橋された分子が得られます.

この重合反応の際に,ガラス繊維や炭素繊維を混ぜておくと,機械的強度に優れた材料をつくることができます.乗り物や医療機器にはこうしてつくられたパネルが使われています.

ガラス繊維を含む場合がGFRP,炭素繊維を含む場合がCFRPです.両者をあわせてFRPと呼びますが,主にGFRPがFRPとみなされつづけてきました.

ナイロン開発物語

6,6-ナイロンは1935年に米国デュポンの科学者だったカロザースによって開発された,人類初の合成繊維です.論理的な分子設計,市場展開,カロザースの人生,そして2011年の合成繊維について紹介しました.

ナイロンの発見

ナイロンの発見

 

テスト

感想コメント質問その他いろいろ

●なんか今日の化学はいつも以上に興味をそそられました!●デュポンすごい●最近遅刻してすいません.●カローザスさんの話が深かったです.●最後のスライドを使っての話が面白かった.●授業おもしろかったです(^^)●眠くて死にそうでした.むしろ死んでました.●今日は寒くて朝来るのが大変でした.●寝坊して化学欠席した日,野島先生が夢に出てきました(笑)●ねぼうしましたスイマセン●→って重合をあらわす記号ですか●化学の授業と化学実験が残り少ないと思うと寂しいです・・・.来年は化学の授業ないのがさびしいです(>_<)

誓いの言葉

●テストに向けてコツコツやります!!●テストが近づいて来る・・・.残りもあと少しだから頑張る.

次回予告

バイオテクノロジーを支援する有機化学について学びます.配布物を読んで予習してくること.

リンク

www.tnojima.net
www.tnojima.net

参考書籍

マクマリー有機化学〈下〉

マクマリー有機化学〈下〉

 

*1:消しゴムと呼ぶよりは消しプラスチックと呼ぶべきでしょう

*2:芳香族化合物のところで紹介した.