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Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

医療工学科の化学講義(23)酸素を含む有機化合物その2

医療工2010

履修者83名中73名出席.出席率88 %.先週より1名減りました.

前回の講義に関する感想コメント質問その他なんでも

詳細は前回の講義録参照↓

麻酔のない時代

先週,ジエチルエーテルの麻酔作用を紹介した際に,麻酔薬というものが発見されるまでは麻酔ナシで外科手術をやっていた,という話をしました.以下のリンクに当時のイラストが出ています.

●麻酔が無かった頃に生まれなくて良かったです.

●麻酔があってよかったです・・・

●昔の手術方法・・・恐ろしいですね.

考えただけで恐ろしい!

カルボン酸

第一級アルコールが酸化されるとアルデヒドに,さらに酸化されるとカルボン酸になります.一般式はRCOOH.代表的なものは台所にある酢酸CH3COOH,もっとも単純な構造のHCOOH,医薬品合成の出発材料ともなる安息香酸C6H5-COOH,は覚えておきましょう.

●ギ酸って,蟻を煮詰めてつくってい(ることもある)たのですね.そいういえばサボテンの裏にひっついている虫を煮詰めてつくる色素があったかと思いました.コチニール色素.

コチニール色素は赤い色素です.

エステル

カルボン酸とアルコールが脱水縮合してできる物質がエステルです.一般式はR1COOR2です.

エステルに日本語で名前を付けるルールがあります.○○酸と□□アルコールが脱水縮合すれば○○酸□□,です.たとえば酢酸とエチルアルコールから酢酸エチル,サリチル酸とメタノールからサリチル酸メチル,という具合です.

医薬品の成分一覧を見たとき,○○酸□□,という名称のものがあれば,それがエステルだとわかります.そして,それを製造するために,○○酸と□□アルコールが用いられたこともわかります.

●タミフル単品で効くのではなく,肝臓の作用で効果が出るということを初めて知りました.化学って楽しいですね!!!

●ニトログリセリンの薬用効果の発見には驚きました.偶然の発見ってすごいですね!

●フルーツ好きですが,パイナップルだけは口が切れるので好きではないです.

●エステルのところは,どうも名前や構造式が覚えられません.がんばって覚えられるようになりたいです.

●薬それ自体が効くのかと思っていたから,体の中で効くように変化しているなんて知らなかった.びっくり!! 化学ってすごいなと本当に感心する!!

●爆薬であるニトログリセリンが心臓によい物質だなんてオドロキ!! 働いていた人,ナイスガッツ!!

●偶然が薬を生むなんてめっちゃ不思議.

●久しぶりに「エステルの反応について」とかやりました.高校のときよりも「どうしてそうなるのか」みたいな「しくみ」について聞けたから,前より理解できた気がします☆テスト一回でパスできるように頑張ります.

●組み合わせしだいでキツイ匂いだったり いい香りだったり,においって何だ!?

●エステルはこの世界に必要不可欠なものだと思った.

●嫌な臭いの分子どうしでバナナやリンゴの香りになるなんて不思議だなと思った.

●フルーツの香りは下手をすると足の裏のニオイとは怖い.

●アセチルサリチル酸ってエステルなのに○○酸□□じゃないじゃないですか!どういうことですか!?

ごもっとも.この反応ではサリチル酸が酸ではなくアルコールとして用いられています.それでこのような変則的な名称になっているのです.

ポリエステル

エステル結合で連なった分子がポリエステルです.ポリエステルの代名詞といえば,飲料水の容器にも用いられているポリエチレンテレフタラート(PET)です.PETはポリエステル繊維としても広く用いられています.丈夫な素材なので何度も強く洗ったり乾燥機で乾かしたりする用途に向いています.白衣や作業着にポリエステル製のものが多いのは,そのためです.

PETはまた,人工血管や縫合糸,医療機器の配管チューブにも用いられています.医療現場で働くとき,さまざまな場所でPETが用いられていることに気づくことでしょう.

●人工血管がポリエステルからできていることを初めて知りました.

●PETって,別名「ダクロン」というのを初めて知りました.病室にも使われているってことは・・・燃えにくいんでしょうか? もしそうだとしたら,それを多く材料にした服を着ていれば,火事が起きても平気ですね.

●久しぶりにテレフタル酸を見ました.

●先生は今日の授業内容でたとえると,ポリエステルというよりはプラスチックですね.*1

俺はケブラー樹脂.ちょっとやそっとじゃ壊れない頑丈な分子構造.*2

生分解性ポリマー

ポリグリコール酸とポリ乳酸を共重合させたポリマーが,生分解性ポリマーとして医療分野で用いられるようになってきました.このポリマーは3ケ月以内に体内で分解されるため,抜糸の必要がありません.便利な素材です.体内のエステル分解機構を上手に利用した分子です.

●私は抜糸のために定期的に病院に通い,めんどうでした.代謝を利用して糸を溶かすなんてすごいです!

●生分解性プラスチックの話が医療のことでおもしろかったです.

●ポリおもしろかったです.

●ケガして縫ったときに体内でとける糸って,そのときは体内で糸がなくなることがわからなかったが,講義をうけてなぜとけるのかがわかった.

●まぶたの上を縫ったとき,たしか抜糸をしたので,その糸は生分解性プラスチックではなかったのですね.残念.

●縫合糸などが生体内で分解されるというのは初めて知りました.ずっと体内に放置されたままなのかと思ってた・・・

●人体にも分解できる構造があることがわかりました.

●高校のときにやった代謝系が,大学の有機で出てくるとは思わなかった!

せっけん

脂肪を水酸化ナトリウムで加水分解すると,RCOONaであらわされる塩が得られます.これがセッケンです.Rの炭素原子数は18から20程度です.

セッケンは炭化水素と塩との両者の性質を組み合わせた構造となっています.炭化水素の部分で油脂汚れと解け合い,塩の部分は洗浄水に溶けます.こうして油脂汚れと洗浄水とが分離しないような状況をつくりだし,洗浄操作を可能にしています.

●せっけんというのは油とくっついて汚れを落とすと思っていましたが,水にも溶けるというのはとてもすごい物質なんだなと思いました.

●私は高校で油脂とセッケンあたりを勉強してから,セッケンで手を洗ったりするときにセッケンがどんなふうにはたらいてくれるのだろうか考えるようになりました(笑).あと私の頭の中はだいぶ散らかっているので早く片付けないと新しいものがちゃんと入りません.

●セッケンで汚れが落ちるしくみがよくわかった.アルキル基部分が長いほど強力なセッケンになるのでしょうか?

●セッケンってすごいんですね.毎日のようにお世話になってます.感謝感激.

●セッケンの話は身近であったので,特に興味が深かった.

アルコール代謝の生化学

アルコール飲料として体内にとりいれられたエタノールは,アルコールデヒドロゲナーゼという酵素によって酸化されてアセトアルデヒドとなります.アセトアルデヒドは人体に有害な物質で,悪酔いや二日酔いの原因となります.しかし,アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼによって酸化されて酢酸になれば,代謝系によって二酸化炭素と水に分解されて体外へ排出されます.

日本人の45 %は,父親もしくは母親からうけついだアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子のどちらかが異常を起こしています.さらに日本人の5 %は,両親から受け継いだ遺伝子の両方が異常を起こしています.そういうわけで,日本人の半数近くはアルコール飲料によって悪酔いするしくみになっています.

酒は飲んでいるうちに強くなる,などと言って無理強いしてくる困ったヒトがいますが,それは間違いです.

ひと昔前まで新入生歓迎と称して大学に入りたての学生に酒を飲ませて悪酔いさせる習慣がありました.これによって死亡事故が繰り返し起きていました.事故が起きた場合には,その場に居合わせた者も過失を問われることになります.学生なら退学処分の対象となり得ますので,くれぐれもご注意ください.

アルコール飲料は二十歳を過ぎてから.

●お酒こわい・・・自重します.

●お酒怖いなーと思いました.

●最後のお酒の話もおもしろかった!

●アルコールに対して自分は強いと信じています.お腹が痛くなってちょっと眠くなるだけで・・・!! 自分が文化系の部活でよかったと思います!!

●私は結構お酒に弱いので,「飲めば慣れる」なんて言葉にだまされないように気をつけたいと思います.

●酒をのんで悪酔いになるのは遺伝的なことで,これは治すことができないということに驚きました.てっきり治るものかと思っていました.

●アルコールは自分は弱いので気をつけて飲むようにしたいと思います.

●飲酒の化学についてわかりことができてよかったです.遺伝子の組み合わせによってアセトアルデヒドの分解具合が変わってくるのは驚きでした.

●お酒を飲めば強くなるというのは危険なことだと初めて知った.

●酒は飲まないのが一番よいと思う.

●お酒の謎がわかってびっくり!

●お酒と仲良くつきあおうと思いました!!!

●アルコールを正常に分解できる人は今後減っていく可能性が高いんですね.肝にめいじときます.

●きのうは祝日だったのでお酒を楽しんでいました.気をつけないといけないと感じました.

●今日の収穫は「日本人の5%は下戸である」ということ.これは良い言い訳だ.

●お酒の話はびっくりしました.日本人ってお酒に弱いんですね.

●酒ってこわいって改めて思った.

●お酒の話,興味深かったです.「ウコンの力」とかはアセトアルデヒドを酢酸にしやすくしているということなのでしょうか.

そういう効果は知られていません.それ以前にウコンが二日酔いに効くと宣伝されているものの,その効果は疑われています.逆に,ウコンに含まれる成分を過剰に摂取することによって肝障害を起こすことも知られています.

●ALDH2は日本人の約4割は機能しないと言っていましたが,自分はどっちなんでしょうか? どうやったらわかりますかー?

医療機関に行けば簡単なパッチテストで判定してくれます.たぶん.

青春の誓い

くわしくは「青春の誓いと登校アドベンチャー」を参照

●酒と遅刻には気をつけます.

●遅れちゃいましたwwまさかでした.

その他

●ねむい

●とてもわかりやすい授業でした.いろいろ学べて良かったです.

●有機おもしろい!

●有機化学の知識が少しずつ得られているので楽しいです.

●芳香族が苦手なので気合いいれまーす.

●有機化学楽しいです!どんどん興味が出てきました!!

●有機化合物の種類の見分けはあまり得意じゃないのでどうにかしたい.

●どこを覚えたらいいのかわからないので,覚えるべきポイントを示してくれればうれしいです.

●有機の名前覚えるのが苦手なので大変です.

●難しくみえるから内容をしっかり理解してわかるようにしたい.

●いろいろな結合のしくみがわかった.

●化学反応の複雑な過程がよくわかった.

●医療にかかわっているものもたくさんあったことを知った.

●医療の話になると,人ってすごいなーと思います.ありがとうございました.

●身近なものがあり,興味深く,お酒がおもしろかったです.

●なんかもう頑張ります.

●もうすぐ12月ですね.もう1年が終わるなんて・・・早すぎます.

●テスト頑張る! 1回の試験で合格できるように勉強する!

質問

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△は加熱処理の記号.

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同じもの.テストで使ってOK.

次回予告

窒素を含む有機化合物をやります.ナイロン,瞬間接着剤なども登場.

リンク

www.tnojima.net
www.tnojima.net

*1:ポリエステルもプラスチックだってば.

*2:防弾チョッキに使われいてる素材