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Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

看護学科の化学講義(6)原子の結合その1

看護2010

今回から原子と原子のつながりかたを見て行きます.履修者47名中46名が出席.98 %.

先週の講義に関するコメント質問その他なんでも紹介

詳細は前回の講義録後半参照.

羽根のない扇風機と飛行機とベルヌーイの定理

前回,羽根のない扇風機はどのような仕組みで送風しているのか,という質問をもらったので,メーカーのサイトに行って動画と説明図をとってきて説明しました.

↓この製品ですね.

D

空気が流れるときに流速が変わると圧力も変わります.その圧力差を利用して周囲の空気も引きずり込み,風速を高くする,という仕組みですね.

気体や液体の運動に関しては,ベルヌーイの定理という法則が成り立ちます.これはエネルギー保存則のひとつの形態です.これを利用した身近な例が,飛行機です.

●はねのない扇風機の話おもしろかったです.飛行機の話もすごいなーと思いました.現代の技術って高度ですね!

●ダイソンの話,けっこう前から気になっていたので,知れてよかったです!

●ダイソンのせんぷうきのしくみすごいと思いました.

●ダイソンの羽根のないせんぷうきの原理がわかって,あれを作った人はすごいなぁと思った.

●ダイソンの羽根のない扇風機と飛行機が同じベルヌーイの定理に基づいて作られているということを知って驚いた.身の周りのものをこういったように化学的なものの見方で見れるようになると,もっと世の中がおもしろくなると思う!

化学ってのとはちょっと違うような・・・

●せんぷうきと飛行機は同じ構造をしてるんですね.ということせんぷうきは飛ぶんですかね?

空気の流れに関して同じ面があるというだけで,扇風機が飛んで行くわけではありません.←空飛ぶ扇風機,危なくて困ります.

●ベルヌーイの定理って野球の変化球と関係ありますか?化学の力で魔球って投げられますか?

関係あります.回転するボールの表面で空気が異なる流速と異なる圧力を示す結果,曲がって飛びます.

●電子レンジって料理としてでなかったら何に使われていたんですか?

マイクロ波で敵機来襲を見つけ出す技術,の開発としてスタートした経緯があります.この研究をしていたとき,エンジニアがポケットに入れていたお菓子が暖まったので,料理に使おうという発想になったという歴史があります.

イオン結合と共有結合

原子にイオン化エネルギーを与えると,最外殻電子が放出されて,原子は陽イオンになります.陽イオンはカチオンとも呼ばれます.金属原子で一般的にみられる現象です.

一方,原子に電子を与えると,原子は陰イオンになります.陰イオンはアニオンとも呼ばれます,これは非金属原子で広くみられる現象です.原子が電子を受け取った際に放出されるエネルギーが,電子親和力です.

カチオンとアニオンとはイオン結合によって結晶構造をつくります.代表的な例は食塩です.

一方,最外殻電子を共有することによってつくられる結合もあります.これは,共有結合と呼ばれています.水素,酸素,塩素,窒素,その他さまざまな物質がこの結合をもちます.

●結晶格子って何ですか? NaとClがくっついていること?

構造のパターンのひとつです.立体的で規則性のある編み目構造のひとつ.

●点電子式と結合式が合わさったような図を使う場合ってあるんですか?点電子図を使うならわざわざ結合式のような線でかく必要ないのでは?

●結合式,結合図,2つありますが,どう使い分けるんですか?

注目した電子対だけ点電子で描いて,あとは線でつなぐ,ということをやります.ちょっと大きめの分子になると点電子だらけになってしまうからです.特に有機化学.

●価電子って何でしたっけ? 元素を予測するんですか? 目で見るんですか? イオン結合は全く引き合っていないっていうことですか?

もっとも外側の殻に収まっている電子が価電子です.前回の講義ノート参照.最外殻の軌道に電子が8個収まるような結合をする規則性が,1番から22番までの元素に見いだされています.という話でした.イオン結合は電気的に引き合っていますよ.

●いろいろな結合,わかりやすかったです.電子がもう一個ほしいなーとか原子目線なのがとっても良いです.

この原子目線,説明のためにやっているのですが,科学者としてはどうなのかと時々自分のやってることを疑っています.でも説明第一かな・・・

●高校のとき点電子図とか1回授業やった以来,見たことなかったんですけど,大学でももう目にすることないんですかね・・・

水素結合や配位結合のところで再登場します.

●ルイスの点電子図の数って,1族なら1つとかそういう考え方で当たってますか?

第三周期まではその調子でOKです.

●いろいろな結合の仕方について,よく理解できました.とても丁寧でわかりやすかったです.

●共有電子に対する相対的引力がおもしろいと思いました.

●ルイスの点電子図はこんなに簡単でいいのかと思いました.殻の図で,どうして原子がくっつくのか分かりました.

●点電子図というんですね! 高校で電子式と習ったのですが必死に点を書いていたのがなつかしいです.

●原子が安定の方向に動こうとするのはすごいと思いました.

●結合については高校でやりましたが,いまいちよくわかっていませんでした.今回ゆっくり教えて頂き少し理解できました.

●電子式ひさしぶりでした.より分かりやすくて再理解できました.

●ここの原子の結合の話,個人的にあまり好きじゃないです.でも,頑張ります.

●電子についてより深く理解できたと思います.ここらへんの話は好きなほうなので,がんばっていきたいと思います.

●個人的にはf:id:hrmoon:20100605180015p:imageの書き方が好きです.

●共有結合にも極性と非極性があったなんて知りませんでした.

●結合の名前を一生懸命覚えていた受験期をなつかしく感じた.

●結合の仕方は,いっぱいあるんだなぁと思いました.結合の仕方がいっぱいあって,昔の人って頭良いなって思いました.

●オクテット則ははじめて知りました.

●価電子を点で表す方法のことをルイスの点電子図ということを知らなかったので,ちゃんと名前がついていることにビックリしました.

●今日は結合についてやった.イオン結合とか共有結合って関係あったんだーと思いました.

●結合が連続しているということがよくわからなかったです.

●イオン結合,極性共有結合,非極性共有結合がつながっているのが初めて知りました!

点電子図

化学反応を考える際には,原子の際外殻電子に注目します.ここで用いられる記述方法が,ルイスの点電子図です.分子を構成する原子それぞれの元素記号の回りには,8個の点電子がレイアウトされます.

電気陰性度

完全にイオン結合,完全に共有結合,という結合はありません.どのような結合もイオン結合的な面と共有結合的な面をもっています.両者のバランスが異なるだけです.これを定量的に理解する際に用いられるのが,ポーリングによる電気陰性度です.結合の両側に位置する原子の電気陰性度の差を求め,その値が1.7より大きい場合,イオン結合性が50 %以上,と判定されます.

●電気陰性度って,差を求めてどんな結合か知るためだけのものなのですか?他にも役割はあるんでしょうか?

その結合の性質を予測し,その結合をもつ分子がどのような挙動を示すかを予測するときに役立ちます.水素結合とか有機化学の反応とか.

●電気陰性度のところで,H2OとかCH4とかの数字は関係ないんですよね!?

関係ありません.一本の結合の両側の元素がもつ電気陰性度に注目します.

●電気陰性度の差で結合のタイプがわかるのはすごいと思いました.

●電気陰性度って,意外と便利なものだった.

●最後の計算がよくわからなかったです.

●高校のときに電子には極性があって,電子がどちらかに引っ張られていると教えられて,あっさりと流していたのですが,今回,電気陰性度の差から極性を考え,結合の種類とも関連していることが知れました.極性ってこういうことなのか!と理解できて楽しかったです.

●電気陰性度の差が1.7以上だとイオン結合であるというのは初めて知りました.この表があればすぐわかりますが.持ち歩くわけにいきませんね.だから普通に考えて見分けられる今までの方法も大事にしてやっていきます.

●1.7の法則(?)高校のときよくわからなかったので,よかったです!!

全般に関してのコメント紹介

●今回ビデオがなくて少しさみしかったです.

時間切れでした.次回やります.

●プリントは内容もチェックしているのですか? 内容が間違っていたら減点ですか?

プリントは勉強の指針を立てるために配布しています.減点する点をみつけるために課題を出しているわけではないのでご安心ください.そういうところを細かくみて減点する,というやり方はしない方針です.

●今日は眠くなかったので全部聞けました.とっても理解できました!化学要習だとよくわからなかった結合もなんとなくよくわかりました.

●内容が難しいところがあってわかんなかったりします.ちゃんと勉強しようと思います.

●課題がんばってやります!

●図の書き方がわかりやすくて理解しやすかったです.

●覚えることいっぱいで大変です.

●みんなが理解しやすいように,ゆっくり授業をすすめてくれるので,忘れていたことを思いだしやすいです.

●高校の授業と大学の授業の違いを最近すごく感じます.わかりやすくて助かります.

●化学楽しくて好きです\(^O^)/

●先生の授業は本当にわかりやすいので,化学に自信が持てそうです.

●ちょっと寝ちゃってごめんなさい.

●先生の授業受けてると高校で理解できなかったことが理解できるようになって楽しいです!!

●今日は高校で習った内容がたくさんでてきたのでとても楽しかったです.ていねいな説明だったので思い出しました.

●今日も授業わかりやすかったです.次回もがんばります.

●本格的に“化学”って感じで,頭が混乱しそう.頑張って予習してきます!

●高校の復習という感じでした.

●今回は丸かいたり点かいたり黒板をうつすのが大変で理解できないところが多かったです.申し訳ありませんがもう少しでいいので一呼吸おいてゆっくりやってください.お願いします.

今回は電子レイアウトのあたりでノートを取るのがタイヘンだったでしょうか.ああならないように電子図があります.で次回からはああいう面倒なのは出てこないので大丈夫です.ゆっくりやります.

質問

●光化学スモッグってどのようなものですか?

以下のサイトに説明があります.次回説明しましょう.

●先生は理学部の化学科出身ですか? それとも薬学部ですか? まさかの看護学部ですか?

ここの出身です.↓

●毎回の授業でも,この紙に書いてることをスライドにして,質問の答えを調べたりしてるんですか!? まじすごいです.ありがとうございます!

毎回毎回調べて説明できるようにしてスライドをつくって,ということをやっています.このところ講義内容から外れた質問も多く,それがまた面白いところではあるのですが,そろそろどうにかしないと・・・

●前回の範囲での質問になってしまうのですが,一番内側の原子殻の名前はK殻で,どうしてKからはじまるのですか?Aからでもいいのでは・・・・?と思ってしまいました.

Aからスタートした場合,もしもそれより内側に殻がみつかったときに困るだろう,というわけで,Kからスタートさせた,という歴史があります.しかしそういう殻は存在しないことがわかっています.

次回予告

第4章「原子の結合」に進みます.原子の結合も数回にわけでとりあつかいます.

リンク

www.tnojima.net
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