Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

シラバス2010年度

2010年度のシラバス執筆作業が完了しました.

昨年度は赴任初年度だったこともあり,前任者(定年退職)のシラバスを参考に書いたのですが*1,今年度は1年間実際に講義をやってみた経験に基づいて全面改訂しました.

シラバスを見て「これは面白そうだ!」と感じてもらえるように,「授業内容」の書き方を工夫してみました.

たとえば・・・・

去年の場合は,

化学反応式とモル
物質量とモル,化学反応式の書き方,酸化還元反応

今年の場合は,

化学反応式とモル
なぜ「モル」で考えるのか,化学反応をどのように記述するか

という具合です.

「モル嫌い撲滅作戦」*2の一環として,まずはシラバスを変えるところからスタートです.

有機化学の1回目も

飽和炭化水素(1)
有機化学とは,混成軌道,炭化水素

というのをやめて,

有機化学の基礎
⽣命現象と有機化合物とはどのような関係にあるのか,有機化合物の「かたち」が⽣命現象において重要なのはなぜか

という内容に変えました.

混成軌道についてくわしく解説するかどうかは何度も悩んだところです.有機化学の基盤とも考えられる概念なので,ぜひともここを理解してもらいたいところなのですが,化学を専攻する学生でもこのあたりでドロップアウトしやすいという現実も考慮しました*3

対象が化学を専攻しない学生なので,あえて外すのも手と考えました.分子の「かたち」という感じで行きます*4

こんな調子で全26回.

最終回26回目のタイトルは「10年後の化学」です.これは今年度と同じ企画.これから1年間の化学の発展を紹介しつつ,未来について考えようという考えです.

まもなく2010年度入学試験が始まります.どのような学生がやってくるのか楽しみです.

PS

  • 「担当者の裁量で好きに講義をやるのが良い」という方針を立てられた2009年度化学単位主任のS教授をはじめ,化学単位構成員の先生方に感謝します.2009年度は好きにやらせていただきました.この調子でよいとおっしゃっている2010年度主任のE教授にも感謝いたします.
  • Twitter上で私のtweetに対してコメントを寄せて下さったの化学研究者,化学専攻学生,その他の皆様に感謝いたします.引き続きよろしくお願いいたします.@TakahikoNojima

*1:ほとんど丸写し

*2:今年の教育目標は「モル嫌い」,「pH嫌い」,「有機化学嫌い」の撲滅です.

*3:Twitter上での,現役化学専攻大学生とのやりとりも参考になりました.

*4:メタンがテトラポッド構造をもつ理由,アルケンへの付加反応がトランス付加になる理由,というようなあたりは解説します.