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Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

看護学科の化学講義(14)溶液とコロイドと懸濁液

2010年度後期の金曜2限化学講義がはじまりました.教室は新L1号館4階の42号室.後期履修者46名中,出席44名,出席率96 %.階段前の教室なのでイロイロな人が覗いていきます.常時授業公開ですね,これは.

新しい教室

●新しい校舎大好きです.でもいすが不思議です.後期も化学がんばります.
●さむかったー
●部屋が寒かったです.夏休み明けだとやっぱり眠いですね.
●結構寒かったです.

教室がかわっても空調の問題が続くとは!

夏休みは終わった

●夏休み気分がなかなか抜けず,授業の時間がしんどいです・・・
●まだ夏休みボケみたいなのが残ってますが,後期もがんばりたいと思います.
●あー!! 化学の授業,楽しみにしていたのに寝ちゃいましたごめんなさい次は頑張る
●久しぶりの化学で,頭回転し始めようとしたら,ねむくなってしまいました.色々なものは,見方によって,良くも悪くもなるんですね.

前期試験はその前に終わった

7月に行われた中間試験の問題と解答を配布し,どのような誤りが多かったのかを解説しました.

前回(2010-07-20)の復習

前期最後の講義に対する感想とコメントを紹介し,質問に回答しました.詳細は前回の講義録参照↓

DHMO

こんな性質をもった化合物が何の規制もされていないという現状についてどのように考えますか?→

  • 無色,無臭,無味の化学物質
  • ジャンクフードやレトルト食品中から検出される
  • 嘔気,嘔吐,電解質異常などの原因となる
  • 授乳期間中の母親が摂取すると,胎盤を通じて胎児に伝わる
  • 薬物中毒患者の過半数が,中毒に至る前,日常的に摂取する習慣をもつ

多くの人は規制対象とすべきである,との印象をもちます.しかしこの物質の正体は「水」H2Oなのです.化学物質に関係する事故や問題が起こると,それに対してTV番組や週刊誌が大げさに報道して不安心を煽ることがあります.水に対してでさえこのような説明ができるわけですから,他の物質に関しては誤解されている面がいかに多いかがわかります.

●最初の水の話おもしろかったです.まさか答えが水だったとは思わなかったです.
●物質って,見方によってとらえかたがだいぶ変わるんだなーと思いました.

水の特性と生命圏

4℃で最大密度を示すこと,他の液体と比較して比熱・沸点・融点が高いこと,といった特性は,生命現象や地球環境を理解するうえで無視することのできないものです.前期中にもこれらの性質について扱いましたが,再度復習を兼ねてくわしく考えてみることにしました.
4℃で密度が最大になるため,池や湖の水は冬場に凍りにくくなります.比熱・沸点・融点の大きさは,気温の保持に貢献しています.

●水とか身近なものについてだったので,とても楽しく,興味をもって授業を受けられました.知らないこともいっぱいで,おもしろかったです.
●水はとても身近な物質だけど,こんなに水について深く考えたこは初めてだったので,楽しかったです.
●水って奥が深いと思った.水について考えてみようと思ったことはあまりなかった.
●今日の授業で,水について少し興味をもちました.普段飲んでいるものなので楽しく話がきけました.後期も先生の授業を楽しみにしています.
●4℃の池の魚の説明がわかりやすかったです.なんで冬に魚までこおっちゃわないのか分かりました!
●4℃で最大密度になるということは,とても大切なことなんだと思いました.冬になって,湖も川も全部凍ってしまったら,魚も他の生物もみんないなくなってしまいますね.
●水は4℃で密度が最大になる・・・というのは初めて知りました.
●氷点下の状態でふっとう・・・? 今日の授業たのしかったです!! 後期もまたよろしくお願いします.
●いろいろな現象について なるほど!! と思うこともありましたが,ちょっと粒子の話は苦手なので,難しくてわからないこともありました.
●身の周りの水や生物のしくみがうまい具合になりたっていることに改めて感心した.
●「水の混合物」の部分が難しかった.
●表面張力の話で,これからは水とかこぼしてもいらいらしないで,その液体の行方を観察したいと思います!!

細胞内はコロイド分散系

水は私たちの身体に不可欠な溶媒です.私たちの身体を構成する細胞の中身は様々な種類のコロイドが分散した状態になっています.そして血液などは均一な溶液ではなく,不均一な懸濁液です.このように混合物のバリエーションを理解することが大切です.

●マヨネーズのことあまり深く考えたことがなかったので,面白かったです.あと冬の池の水の循環の仕組みに驚きました.自然って上手くできているんですね!!
●表面張力を下げる役割が界面活性剤だと初めて知りました.胆汁など私たちの体内にもあるし,マヨネーズなどにも使われているとはビックリしました.私たちの身体は,分子・コロイド・・・様々なものでできているのだなぁと,身体のすごさを改めて感じました.化学は楽しいです!
●今回も新しく知ることの多い楽しい授業でした.特に,池の水の循環の話は,なるほど,と思いました.でもチンダル現象(ほこり)の話は少しショックでした.(;_;}
●水の4℃の話とか,氷河の話とか,自然の中の水のしくみの話に感動しました! 今日の水の話からコロイドの話まで,飽きないでたのしい授業でした.
●水の密度は0℃が最大だと思っていたので,4℃という微妙な温度で最大密度になるということに驚きました.また,マヨネーズの中にもある種の界面活性剤が入っていることに驚きました.
●コロイドは高校の時,プリントを夏休みに配って終わりでした-.その時読まなかったから,ようやく少し理解!!
●コロイドは,きいたことがあったけど,詳しく知らなかったので,もっと知って行きたいです.後期もよろしくお願いします.
●コロイドがどんなものだか分かった.
●溶液の基準がよくわからなかったのですが,1 nm以下のものであるとわかりました.
●水の混合物は全て溶液だと思っていました.溶液,コロイド,けんだく液の違いがわかってよかったです.
●血液浄化など医療と化学的な知識は密接に関わっていると思いました.そういう情報はとても興味があり,たのしかったです.
●活性炭がよく空気浄化のために使われているのは知っていたけど,今日初めて血液浄化にも使われていることを知って驚きました!!
●懸濁液である血液をろ紙に通したら,赤血球が残るってことですか.びっくりしました.
●食塩水ってろ紙を使えば食塩と水に分離できそうでできないんですね!! はじめて知りました.
●株をやっている人は経済学系(文系)の人ばっかだろうと思っていたので,ブラウン運動が関係していたり,数学や物理学をやっていた人が多いなどと聞いて驚きました.牛乳がいつでも白いのはブラウン運動のおかげなんですね!

チンダル現象

コロイドの性質の一つに,光を散乱するというものがあります.身近なところでは木漏れ日の光路が例として挙げられます.これは空気中にホコリや水滴が散乱した状態となったコロイドです.太陽からの光がこれらの粒子によって散乱させられ,私たちの目に飛び込んでくるため,光路を「見る」ことができるのです.

●ブラウン運動やチンダル現象など高校の化学でやった記憶があり,なつかしく思いました.
●チンダル現象については知っていたのですが,原理を知らなかったので,結構簡単な原理なことにびっくりしました.

自由記入欄から

●後期もよろしくお願いします.何とかついていけるように頑張りますo(^_^)o
●後期もよろしくお願いします!
●今日の内容,高校のとき化学IIでやった感じでした!! 後期の内容の暗記しない有機化学,とても楽しみです.私,暗記,苦手なので・・・
●今日は1限から授業だったので眠たくてねちゃいました.ごめんなさい・・・.けっして野島先生の話がつまらなかったからではないですよ.来週がんばります!!
●久々な化学でしたが,やっぱり楽しかったです.へーってなることが多くておもしろかったです.
●今日は久しぶりの1限からの授業でした.うとうとしちゃってすみません.
●今日も授業わかりやすかったです.
●p261〜のコラム的なところ,毎回楽しく読んでいます.医療の話に通じていておもしろいです.
●先生ひさびさに見ました.やっぱカッコいいですね.実験 先生やってるんですね,びっくりしました.
●化学のテスト絶対できないと思ってたけど,意外とできました! ありがとうございます! 後期もがんばります!

質問

●分子が動きづらいと高融点・高沸点なんですか?

水素結合で違いにひっぱりあっていると,蒸発や融解するために必要なエネルギーが大きくなります.そのため,高融点・高沸点になります.

●比熱ってなんですか? どんな熱のことを言うのかわかりません.

前期のカロリー計算のノートを確認しましょう.水の場合,1 cal g-1-1です.

●自分のテストの点数は教えてもらえないのですか?
●そういえばテストって返却されないんですか? 後期も先生といっしょに化学がんばります.

次々回に計算問題演習をやって,その時間に返却,というのを考えています.

●今日の最大のポイントを教えて下さい.

水の特性が生命現象を実現している.

●あの,質問なんですけど,首から下げてるストップウオッチみたいなモノは何ですか??

新しいマイクロフォンです.

●間違えて保冷剤を飲んでしまったら牛乳を飲めというのはどうしてですか?

多量に液体を胃袋の中に流し込んで,はき出させるためです.牛乳がなければ水でもいいのですが,牛乳の方が胃に与える刺激が低いので,牛乳がすすめられています.

●夜に光を空にむかってあてたとき,光はどこまで届くんでしょう.(ほこりなどがない状態で)

完全な真空ならどこまでも届きます.

●どうにかして水と油を混ぜることができませんか.

常温・常圧ではムリです.ただし圧力と温度を高くして,水を「超臨界状態」にすれば,油と混ぜることができます.

●女優さんとかで美容のために毎日 水5 L飲んでるとかよく雑誌で見るんですけど,水5 L位じゃ電解質バランス崩れないもんなんですねかね?

いちどに5 L飲んだら気分が悪くなるかもしれませんが,分けて飲む分には大丈夫です.飲んだ分は排泄されたり蒸発したりするので,急にイオンバランスが崩れることはありません.

●最近水(い○はすとか)を飲むと気分が悪くなったりしていたので,電解質のバランスが上手くいってなかったということですかね?

飲み物と身体との「相性」というのはあるようで,そっちが主な理由でしょう.数百 mL程度の水を飲んだことが電解質バランスを崩して体調不良,とは考えにくいですね.

●池にいる魚の話,すごいなぁと思いました.最近,気温が高くなっているのは,何かしらポジティブな結果を与えているのですか?

気温上昇は,ある生物にとっては住みやすくなりますが,別の生物にとっては住みにくくなる,というものです.

●純水は水はマグネシウムなどないってことは,水素と酸素しかないってことなんですか?

そうです.純粋な水のなかに存在している元素は,酸素と水素だけです.

●牛乳と溶液の違いは,溶けているものの大きさですか? だから牛乳は溶液とは同じではないんですよね?

そうです.

●細胞内部でたんぱく質がコロイドとのことでしたが,たんぱく質は液体ということですか.

たんぱく質が液体というわけではありません.たんぱく質が水の中に散らばっている状態がコロイドです.

●溶液は,溶媒と溶質にわけることはできないんですか?

ろ紙を用いて分けることはできません.しかし,蒸溜とかイオン交換樹脂とかを使えば,分けられます.

次回予告

「溶液」の世界を探ります.「溶ける」って,どういうことでしょうか? 2種類以上の水溶液を混ぜたとき,沈殿が生じる場合と生じない場合とがありますが,なぜでしょうか? 沈殿が体内で生じる場合があるのですが,それと健康との関係は? というあたりをくわしく見ていきましょう.