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Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

化学講義(18)有機化学

今回から有機化学.有機化学の人気が低いためか,それとも学園祭が近づいているためか,欠席者が目立ちました.

前回の講義に対するコメント質問その他の紹介

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ここにある質問などにコメントしました.詳細は前回の講義録参照→第17回(2009-10-21)

分子の形と生理活性

薬草から取れる有機化合物のなかには薬として薬にたつものもあれば,麻薬になってしまうものもあります.このことに関連して東京都立薬草植物園について紹介しました.

都立薬用植物園は家から自転車で8分くらいで行けます。

月代わりイベントをやっているようなので,ぜひ見に行ってください.

光学異性体と生理活性の関係については深い関係があります.サリドマイド事件について説明しました.

サリドマイドを知っていましたが、こういうことだったんだなぁと思いました。こういうことを昔から勉強したかった。

これからもいろいろと医療や社会と化学との関連について紹介して行きます.

有機化学の考え方

主に扱う元素はC, H, O, Nで,他にS, P, ハロゲン,というあたりまでがこれから先のこの講義で登場する元素です.

また,有機化学には様々な反応がありますが,大きく分類すると,付加,脱離,置換,転移,の4種類になります.むやみやたらと知識を詰めこむのではなく,全体の構成を考えて有機化学に取り組みましょう.

アルカン・アルケン・アルキン

炭素数が1から6までのアルカン,およびいくつかのアルケン,ジエン,アルキンについて説明しました.

ガソリンのハイオクって、オクタンと関係あるんですか?

関係あります.オクタンの異性体のひとつに「イソオクタン」というものがあり,これの混合比を高くしてあるものがハイオクです.

分子の形から反応を考える

エチレンのπ電子について説明しました.σ結合とは異なる形式で原子間をつないでいるだけでなく,様々な反応に深く関与しています.同じくアセチレンについても説明しました.説明には分子模型を使いました(早朝登校してくみたてました).

エチレンへの付加反応

高校化学で,エチレンと水が反応してエタノールができる,ということを習います.しかし,どのようなしくみでその反応が進むのかは説明がありません.π電子への正電荷トラップからトランス結合までの流れを図示しながら説明しました.

CH2=CH2 + H2O → CH3CH2OH この反応のしくみが分かってよかった。

このおもしろさをわかってくれる人がいて何よりです.

これからも高校化学で出てきた反応をイロイロと採り上げては,そのしくみについて説明して行きます.すでに反応を覚えている人には,その記憶という財産の価値を高めましょう.

ポリエチレンの合成方法

身近な高分子であるポリエチレンにはいくつかの合成法があります.そのうちの一つ,チーグラー・ナッタ触媒を用いる重合法について解説しました.じつにうまいやり方です.高分子化合物は現代社会の発展に欠かせない物質です.有機化学の範囲で採り上げて行こうと思います.

その他

テストでは無機と有機の割合はどれくらいですか?

基本的な考え方を身につけて2年に進級してもらいたいので,テストは1年間の講義で採り上げた範囲になります.モル濃度やカロリー計算などは見直しておきましょう.有機化学はむやみやたらと覚えないよう,考え方を問う試験にしようと思います(他の単元も).有機化学割合が半分を越えることはないでしょう.

全て授業を出席すると,どれくらい加算されますか?

なんとも言えません.基本的にテストがまったくダメだったらダメなんです.

次回予告

アルケンの性質について説明し,導電性プラスチックなど機能性材料の化学を紹介した後,芳香族炭化水素の性質に進みます.

リンク

www.tnojima.net
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