Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

看護学科の化学講義(14)水・溶液・コロイド(1)

看護学部の化学,後期第1回目の講義です.

前回の講義に対する感想コメントその他なんでも一括紹介

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詳細は前回の講義録参照→第13回(2009-07-17)

ごあいさつ

後期もよろしくお願いします。

またよろしくお願いします。

久々に先生の授業がうけられて幸せでした。後期も学校がんばりまーす!

これからもよろしくお願いします.

金曜日ともなると体力的に消耗の度合いが高まってきていることが多いのですが,このように喜んでもらえるととても嬉しいものです.

後期始まりましたね!

夏休みあっという間でした。先生は夏休みに何かされましたか?

自宅で食塩の結晶づくりをやっていました.←化学担当教員としての回答。

夏休みの間に化学研究の世界ではいくつかの注目すべきできごとがありました.ひとつは人類の知っている物質の数が1億種類を突破したことです.このことについては8月21日のエントリーで紹介しました.

もうひとつ私にとって印象的だったのは,低分子化合物の可視化成功です.

このトピックについて簡単に紹介しました.

化学の世界では目に見えないものが多すぎて、なかなか理解しづらいので、見えるようになるとすごく助かるなと思った。

「みえること」と「みえないこと」との差は大きいのです!

前期試験の結果

7月のおわりに行われた前期試験の結果はすでに発表されています.大学に入って最初の定期試験だったため,高校までと勝手がちがい,答案用紙を前に苦戦した学生も多かったようです.不合格とならなかった学生でも,実際に自分の答案のどのあたりが誤りであったのか気になるようです.

テストは、できれば返してほしいです。コピーなどでもいいので、おねがいします。

テスト気になります。

解答が配られました。たぶんたくさんまちがってる!やっぱ点数見たくない!

見たいような見たくないような,というところでしょうか.

通年科目の中間試験だったので年度末の最終成績評価までは答案を返却してしまうわけにはいきません.

希望者にはコピーを渡すことにしようと思います。

化学的に考える

限られた情報だけから公正にものごとを評価し判断を下す,というのはとても難しいものです.バイアスのかかった情報からは誤った判断を下してしまうものです.化学物質に関してもちょっとしたことで誤解を招いてしまいがちです.「『DHMO』に反対しよう」という意見に対して過半数の解答者が賛成する,という調査結果がよい例となっています.

環境面、健康面を含めて実に様々な問題点を持っているにも関わらず我が国の政府はこの物質に関してまったく規制を行なっていない。

この物質は様々な化学産業で溶媒として大量に利用、排出されており、さらに工場やゴミ処理場の排ガス、自動車の排気ガスなどからも多量に検出されるにも関わらずである。

現在ではあらゆる環境、あらゆる食品、そして水道水中からもこの物質が検出される。

しかしまだ遅くない

どうかこのDHMOの法的規制にご協力いただきたい。

----- DHMOという化学物質の規制にご協力を

そーだそーだと感じた学生も多かったようです.

水は生きるためになくてはならないものだが、視点によっては悪いイメージになってしまい、だまされた・・・

水の性質・密度の温度依存性

水の密度は4℃で最大になります.これが池や湖の水循環に関係しています.寒い冬が来ても魚が凍らないで済むのは,水の密度の温度依存性がちょっと変わっているからです.

池の水の循環の話が印象的でした。魚が凍らないで生きていられる理由がわかりました。

池の水の循環のところで、小学校のとき、学校の池が凍っていて、「お魚さん死んじゃうから氷割ろう!」ってみんだでひたすら割ったことを思い出しました。お魚さんにとってはいい迷惑だったってことですね!

迷惑だったかもしれませんが,善意は理解してほしいですね.

なぜ水は4℃で密度が一番大きくなるのでしょうか?

室温の水は乱雑な動きをしています.温度が下がってくるとこの動きが収まってきます.そうすると分子どうしの反撥も下がり,同じ数の分子を収める体積が小さくて済むようになります.この傾向が4℃まで温度を下げて行くと続きます.4℃よりも温度を下げて行くと,こんどは水分子が水素結合を利用した立体構造をつくりはじめます.そうすると再び分子間の距離が広がりはじめるので,密度が下がりはじめます.

水の性質・表面張力

水が服とかコップとかに付くと丸まる理由がわかっておもしろかったです。

溶液・コロイド・懸濁液

みのまわりにはいろいろな液体があります.それらの多くは「まざりもの」です.溶媒が水だった場合も,食塩水と牛乳と血液では似ていような似ていないような,なんとなくどこか違う,という印象を受ける人も多いことでしょう.ここを分子の視点でしっかりと分けて考えられるようになることが大切です.

溶液とコロイドと懸濁液がどう違うのか早くわかるようになりたいです。

これは医療の仕事をして行くうえでも大切な感覚です.粒子直径をモノサシにして点滴と血液との違いを考えてみましょう.

全般に

身近なもので例えがあったので理解しやすかった。今まで気づかなかったが、身の回りでもたくさんのケミストリーの力がはたらいているんですね。

一般教育の化学では化学についての細かい知識や計算テクニックを覚えて行くことよりも,生活や職業に関係した化学の世界を紹介して行こうと思っています.10月からは有機化学の範囲に進みますが,薬品や医療高分子材料の話なども交えて講義を進めて行こうと計画しています.

というわけで,

有機化学嫌いなんで、ずっと無機やりたいです。

というのはダメなんですね.

授業評価アンケート結果をとりいれて

7月10日に授業評価アンケートを行いました.これは一般教育部の専任教員全員に対して義務づけられているもので,一般教育部FD委員会がとりまとめているものです.その結果が先週のおわりに返ってきました.私が担当している看護学部対象の化学講義は全般に高く評価してもらえているのですが,今後改善を要する点もいくつかわかってきました.そのひとつは「授業の目標が毎回はっきりと示されていたか」とう調査項目でした.

「何のために何について講義する」という説明が不足していたように思います.後期は毎時間ここをはっきりと宣言してから講義を始めようと思います.

講義の始めにこれからやる内容の簡単な説明は私もほしいと思いました。

次回予告

第10章「水・溶液・コロイド」をおわらせ,それにつづく第11章「溶液の濃度」に進む予定です.

リンク

www.tnojima.net
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