Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

失敗とボツの山:試行錯誤の5年半

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自分が大学生だった頃には無かったアレコレを講義とか演習とかに採り入れてみようと試行錯誤する日々を5年半にわたって続けてきました.その結果,現在のスタイルにたどり着くまでに,失敗やボツの山ができました.今回はその山の中から,これまでに葬り去られたアレコレを紹介します.

1 実際にやってみて止めたアレコレ

オンライン上で普及している仕組みが教室でも普及しているかというとそうでもないわけです.

1.1 2009年度,ブログのコメント欄への書き込み皆無

講義内容をブログで公開していて,ソコに質問を書き込んでくれれば,回答もするし関連情報へのリンクも張るし,そうすれば成長し続けるオンラインのデータベースもできると考えたのですが,講義が終わってからブログにわざわざアクセスして来るヒマな人はいないわけです*2.2年間だけ続けてコメント欄閉鎖.時代はSNSへ.

1.2 2010年度,Ustreamで化学講義を配信するのは1回だけやって止めた

大学教育のオンライン化時代到来に備えて,ストリーミングで講義配信する程度のことはサクっとできる状態になっておこうと思って,Ustreamのアカウントを取って,小型カメラが内蔵されたPCを使って,水曜1限の化学講義をストリーミング配信してみたのですが,講義やりながら機材動作のチェックもやるのってキツいし,カメラを設置するちょうど良い場所もないし,1回だけお試しストリーミングしてオシマイにしました*3

2 検討して採用しなかったアレコレ

大学が提供しているIT環境は,せっかくなので使ってみようと思うわけですが,学生全員が使い方をマスターしていないと採用を見送ることになります.

2.1 2010年度,Moodleコースを作ろうとして止めた

Moodle普及に尽力されてる先生方の活動に興味をもって,スライドとかプリントとかをMoodle経由で履修者に配布しようと計画したのですが,別件でMoodleの使い方を質問してきた学生がいて,PCの使い方を教えるところからやらなければならなくなったことがあって,そういうのに何人も対応することになる悪寒がしたので止めました.管轄外.

2.2 2010年度,クリッカーを採り入れた演習をやろうと考えて止めた

選択肢の中から正答を選んで,回答分布がスクリーンに投影されるクリッカー.履修者を「お客様」にしないゲーム感覚の良い方法です.しかし,選択式の演習問題をつくるために講義の内容をアレンジしなおさなければならないし,スライドのレイアウトも作り直さなければならないし,Macintosh使えないし,メリットとデメリットを天秤にかけて止めました.

3 自然消滅しつつあるアレコレ

Twitter上でハッシュタグを使う試みは,そもそもハッシュタグを使ってる人が少数派みたいで,盛り上がりに欠けます.

3.1 2010年度,登校アドベンチャー #tkadv

登下校時も楽しもうと考えたTwitter企画が「登校アドベンチャー #tkadv 」です.が,2011年度に盛り上がった時期があっただけで,その後は広まりませんでした.2013年の夏からは私が自動車通勤になっちゃったこともあって,事実上,消滅です.
www.tnojima.net

3.2 2010年度,進級アドベンチャー #skadv

試験期間や進級発表時の喜怒哀楽をツイートする際のタグとして「進級アドベンチャー #skadv 」を考えたのですが,コレも一時期盛り上がってそれっきりになりました.
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4 いまひとつ活用できてないアレコレ

新しく登場するしくみがどれくらい普及するかは予測できないわけです.

4.1 在学生のFacebook利用者数が予想よりも少ない状態が続いている

2011年度から化学講義のFacebookページを開設したものの,履修者のほとんどはFacebookを利用していないため,実際にチェックしているのは学外の人々だったり,

2014年度からは大学基礎演習BのFacebookページを開設したものの,やっぱり履修者のほとんどはFacebookを利用していなくて,チェックしているのは極少数だったり.

この3年間で,大学1年生のFacebook利用率が予想より伸びませんでした.

4.2 Google+はユーザーが増えなかった

Google+が登場したとき,TwitterとFacebookとSkypeを統合したシステムが登場したと思って,コレからは世の中の標準SNSがGoogle+になるだろうって思って,化学講義関連情報のGoogle+ページをつくったのですが,在学生が利用してる形跡はアレです.

5 結論

新しいことを始める際には,すでに学生が日常的に使っているシステムを利用するのが正攻法です.たとえば「QRコードにスマートフォンをかざしてリンク先の情報を見る」方法を私から教える必要はありませんが,大学が提供しているMoodleやクリッカーは,大学入学後に初めて経験する仕組みなので,1年生に対しては操作方法から教えなければなくなる場合もあるわけです.

それと,新しいシステムがどれくらい普及するのかは予測できないので,優れている点があるからと言って,普及することを前提に計画を立ててもダメなわけです.


このブログを書いている人

www.tnojima.net

*1:http://water.epa.gov/type/watersheds/outreach/trashnonjs.cfm

*2:いかがわしいビジネスからの迷惑広告書き込みばかり続き,コメント承認制にしたら余計な作業が増えたし.

*3:別の方法で再び試してみるつもり.