Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・野島 高彦)

東京都薬用植物園(2)

薬学部の学生を主な対象とする,薬用薬物の観察会に参加してきました.

呼びかけ人は薬学部准教授の福田達男先生,場所は,東京都薬用植物園(西武鉄道 東大和市駅前)です.

今回の主な観察対象は「ケシ」です.

観察会は春と秋に一度ずつ開催されており,春は「ケシ」,秋は「アサ」を実際に観察しながら,違法薬物について学びます.

昨年10月の「アサ」観察会には私も参加させていただきました.学生に混じって見学してもよいとのお許しをいただいたので,参加させていただいたのでした.
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東京都薬用植物園内には,カギのかけられた二重の柵で区切られた畑があり,アサやケシが育てられています.鑑定用に持ち込まれた,アサやケシではないかと疑われるサンプルを鑑定するためには,常に素性のわかったアサやケシを育て続けている必要があるのです.

今回は薬学部生対象の観察会ということで,特別に内部に立ち入らせていただきました.
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今年は今がケシの花の「見ごろ」です.

敷地内には,法律で栽培が禁止されている種もあれば,麻薬成分をもたないために栽培が禁止されていない種もあります.

深紅,白,ピンク,オレンジ,といった様々な色の花が咲き誇っていました.
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真っ赤なケシの花.
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薄紫のケシの花.
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ケシの花が散ると果実がふくらみ始めます.この状態は「ケシ坊主」と呼ばれています.ケシ坊主に傷を入れると,クリーム色の汁がしみ出てきます.この汁をヘラでかきとって集めて乾かすと,アヘンになります.

写真のケシ坊主では.縦に3本入った傷のうち,右側2本の薄茶色の線が今回付けられた傷,左側の黒い線1本が,すでに付けられていた傷です.

ここから汁を回収するので,アヘンの製造は骨の折れる作業です.2000本から3000本のケシを材料に200 gのアヘンを得た,という記録があるそうです.

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敷地内には,違法植物を処理するための穴もあります.

都内で違法栽培されているものや,自然に生えているところを発見された違法植物は,すべてここに運ばれてきて埋め立てられます.

天気が良く,気温が高かった本日,穴に投げこまれた葉からは何とも言えないイヤな匂いがただよっていました.

アヘンには独特の悪臭があるため,麻薬犬の助けを借りなくても所持者がみつかることがあるそうです.

普段は立ち入ることのできないエリアに立ち入り,ケシの果実からアヘンの材料となる汁を取り出す作業を見せていただくという,貴重な体験をさせていただきました.

福田先生,都立薬用植物園,それに北里大学スタッフのみなさまにお礼申し上げます.

秋には「ケシ」の観察会が開催されます.一般教育部玄関にも呼びかけのポスターが掲示されるはずですので,興味のある方には参加をおすすめします(薬学部生でなくても参加OK).

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